修理の力と目利きで勝負

これまでも顧客からの修理依頼に応えてきた同社は、そのノウハウを活用し、中古家具にも職人の手を加える。これにより元の価値を取り戻すか、新たな価値を付加したうえで商品化するという。これは使いっぱなしの中古家具を取り扱う業者に対し、大塚家具が優位性を示せる最大のポイントといえるだろう。

修理で培ったノウハウを活用

価格設定には、さまざまな家具を扱ってきた大塚家具の“目利きの力”を活用できるという。たとえばネットオークションのようなCtoCのケースを考えた場合、中古家具の価格は売り手と買い手の主観で決まってしまうので、本来の価値よりも安すぎたり、高すぎたりする値段で取引が成立してしまう不安が付きまとう。大塚家具が目利きをした商品であれば、価格設定に納得して購入できるという顧客は存在しそうだ。

中価格帯の拡充で業績回復へ

大塚家具で取り扱う中古家具は、品物によって幅はあるが、多くが定価の半額以下の価格設定になるという。ただし、取り扱うのは長く安心して使ってもらえる「耐久消費財」としての家具に限る。つまりは、組み立て家具のように「消費財」として作られた品物は中古品として取り扱わないのだ。その結果、大塚家具の取り扱う中古家具は高品質なものに限定されるわけだが、逆にいえば、例えばソファーが数千円で買えるような業態とはなりそうもない。

価格設定の一例

会員制による顧客との密な関係と新築・まとめ買い需要の取り込みで知られた大塚家具だが、新たな経営陣が進めるビジネスモデルの変革は道半ばといった印象。「中価格帯」で存在感を高める方針を打ち出す同社だが、実際には新築需要依存度の高い大型店が低迷し、2016年12月期の業績も売上高・営業損益ともに前期比割れで推移している。このタイミングでリユース事業に参入するのは、中価格帯商品の選択肢を拡げる狙いもありそうだ。

アンティーク家具などは上を見れば切りがないが、リサイクルショップやネット上には低価格の商品が豊富に存在する中古家具市場。大塚家具は“高級”と“低価格”の狭間にリユース事業の商機を見出したようだ。豊富な供給源(売り手)に対し、相応な買い手を見つけられるかどうかが今後の焦点だが、高級家具店のイメージで大塚家具は敷居が高いと感じている人に対しては、手が出しやすい中古家具の存在が来店動機の1つとなるかもしれない。