エプソンは教育市場に向けて、「電子黒板機能」内蔵のプロジェクタ製品を積極的に展開している。文部科学省でも学校教育にICTを取り入れるプランを推し進めており、こうした動きも追い風となっているようだ。都内で11月17日に行われたプロジェクタの新製品発表会では、その活用法、および今後の市場動向などが紹介された。

エプソンは教育市場に「電子黒板機能」内蔵のプロジェクタ製品を積極的に展開中。3つのステップによる使い方を提唱している

実際に、どんな使い方ができる?

"講師"は、エプソン販売 ビジネス営業企画部の橋本大樹氏。プロジェクタ一体型のボードスタンドに、電子黒板機能を内蔵したプロジェクタの映像を投写しながら、学校の授業さながらの雰囲気でプレゼンが進められた。ちなみに同日、セイコーエプソンおよびエプソン販売では、電子黒板機能が搭載された「EB-696UT」「EB-695WT」「EB-685WT」をはじめとする、ビジネスプロジェクタの新製品として20機種を発表している。

エプソン販売 ビジネス営業企画部 企画(文教)係長の橋本大樹氏(左)。エプソンは、電子黒板機能内蔵プロジェクタ「EB-685WT」(右)など20機種の新製品を発表

エプソンは、教育現場への製品展開を通じて「アナログ教材の活用」「デジタル教科書・教材の活用」「学習者用タブレット端末の活用」の3ステップを提案する。順番に紹介していこう。

まずアナログ教材を活用できることで、教師は教材を新規に用意する必要がなくなる。教師の負担減につながり、同時に導入のハードルも下がるだろう。会場で行われたデモでは、紙の教材の上に電子ペンで文字や図形を書き込む様子が紹介された。

アナログ教材を活用できる。会場のデモでは、紙の教材の上に電子ペンで文字や図形を書き込むデモ

チョークによる板書と、投写された映像を組み合わせることも可能。実際にエプソンの製品を導入している私立学校では、英語の教科書に載っている長文を黒板に投写してチョークで文法の説明を加えたり、地図を投写して偏西風の流れをチョークで書き込んだり、といった授業が行われている。ちなみに教科書の内容を黒板に投写する際には、エプソンの書画カメラ(実物投影機)「ELPDC21」との連携が便利だという。

書画カメラ(実物投影機)「ELPDC21」と連携すれば、カメラがとらえた教材を、プロジェクタを通じて黒板に投写、そこにチョークによる板書を加えるといった使い方ができる

プロジェクタには16Wのスピーカーが内蔵されており、教室の後方までしっかり届く音量が出せる。また、電子黒板機能内蔵プロジェクタを特徴づけているのが電子ペンの存在。投写画面上に文字や図形を書き込めるほか、デジタル教科書・教材の中にあるWebサイトへのリンク選択などにも使える。なお、リンクの場所はマウスホバリング機能で確認できるため、授業の進行を妨げない。手書きの文字をデジタル書体に変換する機能も備えており、変換した文字からWeb検索なども可能。この電子ペンの存在により、PCレスでも快適に操作できる。

16Wの内蔵スピーカーなら、教室の後方まで届く音量が出せる(左)。電子ペンの存在により、PCレスでも快適に操作できる(右)

このほか、学習者用タブレット端末との連携機能によって、教師と児童・生徒の間で双方向のやり取りをサポートする。電子黒板の投写画面を児童・生徒が持っている端末に配信したり、児童・生徒の書き込みを先生用の端末にサムネイル表示したりできる。最大で4人まで、児童・生徒の画面を電子黒板に並べて表示することも可能だ。考え方の違いを皆で共有、さらにグループ発表などにも使えそうだ。

学習者用タブレット端末との連携機能(左)。先生用の端末では、児童・生徒の解答をサムネイルで確認できる(右)