【レポート】

妊活・不妊治療の前に知りたいこと、不妊治療経験者の産婦人科医が答えます

1 なぜ男性は妊活に協力できないのか

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"妊活"という言葉が広く認知されてきた現代でも、「いつから」「どうやって」というところまで理解している人はまだ少ないのではないだろうか。そこで今回、自身も不妊治療を経験した産婦人科医の田口早桐先生に、妊活・不妊治療を始める前に知っておきたいことをうかがった。

不妊という言葉がパートナーとの関係をギクシャクさせることも

女性と男性は逆に向かってしまう

―実際に妊活・不妊治療をしている人々と接していて、「このことはちゃんと分かっていてほしいな」と思うようなことはありますか。

田口先生: 妊活は子供をつくることが目的。男性と女性による生殖です。もちろん、カップルの合意があって行われるものですが、ふたりでぴったり呼吸を合わせて妊活を行うのは難しいことも多いです。

当たり前ではありますが、医療介入のない妊活だと性交渉しかありません。それも、排卵日に性交渉をするということです。ただ、このことが男性にとってはだんだんと苦痛になってくることが多いのも事実。男性は禁止されればされるほどしたくなるもの。そういう性(さが)なんです。ですが、妊活となると性交渉を"しなければ"いけなくなります。「義務になるとできなくなった」という話もよく聞きます。

そのため、妊活に関して言うと、女性と男性は逆に向かってしまいがちです。女性がやる気満々なのに男性がその気にならないなどです。「今日は排卵日で、せっかくのチャンスだったのにできなかった」と落ち込む女性もいますが、相手を責めても仕方がないです。

―では実際、どうしたらいいんでしょうか。

田口先生: 女性も男性がそうした性であることを理解した上で、うまくコントロールすることが必要になります。また、排卵日と決めて構えるよりも、生理が終わった翌日からでも、できる日にできるだけ性交渉をもつことが大切です。ある意味、妊活は最初の数カ月が勝負だと思います。

―妊活をするにあたり、例えば基礎体温を毎日測るとか、食生活を改めるとか、不妊治療のクリニックを訪れる前に、自分で日常的にできることはありますでしょうか。

田口先生: まずは女性に関してですが、排卵日を把握することは大事です。基礎体温や排卵チェッカーなどを使って大体の目安をつけるといいでしょう。また、特定の食品を摂取したからといって、妊娠率が高まるということはないです。ごく常識的な生活をしてください。コーヒーを1日6杯以上飲むと妊孕性(にんようせい: 妊娠のしやすさ)に影響が出ると言われていますが、1日2~3杯くらいでは問題ないです。お酒も適量を心がけてください。

日常的な生活を続けることが大事

「喫煙・肥満・加齢」が3大リスク

田口先生: 不規則な睡眠もリスクファクターのひとつと考えられていますが、はっきりとした数字は出ていません。例えば、日中が逆転していても睡眠時間を確保していればいいのか、ということに関しても分かっていません。ですが、マウスなどの実験では睡眠のトラブルで不妊になることがあるとされています。

睡眠をつかさどるホルモン「メラトニン」や、妊娠や出産に深く関係しているホルモン「プロラクチン」などは、脳の中で同じところに集まっています。プロラクチンが上がると排卵が止まることもあります。そのため、睡眠が不規則になるとホルモンの分泌に影響ができのではと考えられています。

ただ、喫煙は明確に影響があるとされています。肥満も、卵巣の機能が低下する、排卵が不規則になるという影響があります。基準になるのはBMIですが、BMIは18.5以上・25未満がベストで、低体重でも肥満でも影響します。最近では肥満よりも痩せ過ぎなことが、不妊に影響している人が多いように感じています。

喫煙・肥満以上に関係しているのは加齢です。加齢によって影響が出るのは卵子の問題で、子宮や羊水は年をとらないと考えてもいいでしょう。その境は30歳なのか35歳なのかは意見が分かれるかと思いますが、卵子の質は低下します。質の低下というのは、まず染色体異常が起こりやすくなることと、卵子の細胞質、特にミトコンドリアの機能が低下する、平たく言えば元気がなくなることです。

「喫煙・肥満・加齢」の中で、加齢は一番影響する

加齢が影響するのは卵子のみ

―子宮や羊水には加齢の影響がないのであれば、生理が止まっていても妊娠できるのでしょうか。

田口先生: 妊娠します。内膜がはがれるのが生理ですが、「エストロゲン」というホルモンの作用で内膜が厚くなり、「プロゲステロン」というホルモンで内膜を支えています。そうした作用を薬を飲んで実行すれば、子宮は妊娠できる環境となります。

―卵子の状態を維持できるなら、何歳になっても妊娠できると言えるのでしょうか。

田口先生: 卵子凍結や体外受精という手段を使えばでき、48歳でも49歳でも妊娠する人はいます。ただ、妊娠すると循環血液量が1.5倍になり、身体全体への大きな負担になります。そもそも、加齢によって高血圧などのリスクが高まるため、妊娠継続に支障をきたす場合もありえます。そうしたことを考えると、妊娠は50歳くらいまでがひとつの限度になるのではないでしょうか。

―女性の場合、「喫煙・肥満・加齢」が妊孕性に影響するとのことですが、男性の場合も同じなんでしょうか。

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インデックス

目次
(1) なぜ男性は妊活に協力できないのか
(2) 自然に妊娠できる年齢と不妊治療で妊娠できる年齢
(3) 不妊治療は3つしかない--ひとつは自分でできること
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