2016年11月10日、日本マイクロソフトは都内で年末商戦向けの取り組みを紹介する「Windows Innovation Day」を開催した。日本マイクロソフトの社長・平野拓也氏は、PCとWindows 10を中心に「新たなパーソナルコンピューティングへの期待」「働き方改革とセキュリティへの注目」というアプローチで、利用者が新たな世界を創造する環境を提供すると述べた。

2015年7月29日のリリースから約1年半が経つWindows 10。当初、米国のMicrosoft本社が目標に掲げた「10億万デバイス」には届かないが、4億台突破を2016年9月に発表している。それでも、シェア拡大率は過去のWindows OSと比べても優秀な成果を誇る。

日本マイクロソフトは、Windows 10のさらなる拡充を目指すため、2016年年末の商戦向け戦略を発表した。日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也氏は、日本市場の展開について、2つのアプローチを持って取り組むと語る。

日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野拓也氏

1つめは「新たなパーソナルコンピューティングへの期待」。以前はスマートフォン1つで何でも済ます潮流があったものの、VR(仮想現実)や3Dといった新技術に加えて、創造性が広がる時代になりつつあり、PCの必要性が再認識されているとした。「新技術に対応し、新たな体験を提供できるデバイスが求められている」(平野氏)。

もう1つは「働き方改革とセキュリティへの注目」。日本マイクロソフトは日本政府と連携し、働き方改革週間を2016年も実施しているが、「いつでもどこでも仕事ができる環境が必要」(平野氏)になっている現状に対応するため、2in1デバイスの需要が高まっていると分析する。Windows 10が新技術・新体験を提供できる基盤であると同時に、豊富なセキュリティ機能を備えることで、安全・安心なテレワーク環境を実現できると平野氏は強調した。

なお、日本マイクロソフトは昨年(2015年)も今回と同様の発表会を開いているが、その際はWindows 10 Mobileデバイスの発表をトピックに定めていた。「昨年は6社だが、今年は倍の12社14機種まで(Windows 10 Mobileデバイスが)増加。法人分野中心に広がりを見せている」(平野氏)と、好調さをアピールしている。

そして2016年年末商戦は、「楽しめるデバイスとしてのPCを訴求」「店頭での体験をさらに向上」「パートナーエコシステムの拡大&連携強化」という3つのキーワードをもとに取り組む。1つめの「楽しめるデバイス」は、遊びや趣味など多様な場面で利活用できるデバイスの訴求だ。

2つめの「店頭での体験」は、顧客がWindowsデバイスに直接触れて使い方や楽しみ方を理解する店舗をより重要視。具体的には、大型量販店を中心に設けた27カ所の「Windowsエリア」に専門のプロダクトアドバイザーを3名配置し、「モノ(デバイス)からコト(経験)」へと、顧客に最適なデバイスを提案する。3つめについては、日本マイクロソフト 執行役員 常務 コンシューマー&パートナーグループ担当 高橋美波氏が、パートナー企業からのゲストを交えつつ解説。

高橋氏は、日本マイクロソフトによるWindows 10搭載デバイスの訴求を、「クリエイティブ」「ゲーム/エンターテインメント」「セキュリティ」の3つをテーマに掲げて、パートナーエコシステムの拡大を目指すとした。また、前述のWindowsエリアにおいて、自社およびパートナー企業のWindowsデバイス訴求を目的とした「MyヒーローPC」キャンペーンを11月10日から開始した。

【左】日本マイクロソフト 執行役員 常務 コンシューマー&パートナーグループ担当 高橋美波氏 【右】11月10日から開始した「MyヒーローPC」。これまでのデバイスではなく、能動的な"人"を対象したキャンペーンだ