11月9日、恒例となったFileMakerカンファレンス2016が開幕した。人気データーベースアプリに関するあらゆる情報が集約されたイベントとあって、初日から大勢の参加者でにぎわっている。

FileMakerはもともとMac用の個人向けカード型データベースアプリとして開発されたアプリで、その後バージョンを経ると共にWindows版が登場し、また機能面でもリレーショナルデータベース機能、Web公開、マルチテーブル構造を取り入れて拡張され、現在では小規模~大規模まで、幅広いスケールで企業・団体などの業務システム開発にも利用されるようになっている。モバイルとの連携では、2010年に登場した「FileMaker Go」との組み合わせにより、iOS上でMacやPCで開発したカスタムアプリがそのまま動作する

初日午前中に開催されたオープニングセッションでは、ファイルメーカー株式会社社長のビル・エプリング氏と、米FileMaker,Inc.本社のシニアプロダクトマネージャであるアナンド・ベッゲラ氏が登壇。エプリング社長は、ファイルメーカーの歴史を軽く紹介した後、FileMaker Proの導入事例を紹介。また、モバイル市場の急成長に合わせてFileMaker Goが広く受け入れられていること、同社のテンプレート配信サイト「fmgo.jp」が一般ユーザーにも門戸が開かれたことなどが紹介された。

軽妙なジョークを交えつつオープニングセッションの壇上に立ったエプリング社長

長野県の株式会社ヤッホーブルーイングでは人気の地ビールの樽管理にFileMakerソリューションを利用し、樽の失踪をほぼゼロ近くまで抑えることに成功

2008年には2,000万台程度だったスマートフォンの出荷台数は今や15億台に達しており、誰もがスマートフォンで写真を撮るのが当たり前になっている(写真左下・左上)。今やビジネスは完全にモバイル優先のゲームに変わっている

続いて登壇したベッゲラ氏からは、FileMakerの技術に関する現状や最新情報についてのプレゼンテーションが行われた。

ベッゲラ氏のプレゼンテーションの内容はNDAのため、ご尊顔のみの紹介となる。全体としてはさらにネットワークとの親和性が高まる方向になりそうだ

オープニングセッションの後は、複数のホールでさまざまなジャンルのセミナーやワークショップが並行して行われるほか、ロビーではFileMakerの開発パートナー、協賛企業らによるカスタムアプリやサービスが展示されるショウケースが会場を賑わせている。

ブース前でPepper君が客引きしていたマジェスティックの「誰簡」シリーズではFileMakerを使ったカスタムウェブ管理の「誰簡Web」などを提供中

イエス ウィ キャンの「Yes!診療予約システム」は小児科病院などの診療予約システム。病院側や導入時にiPadを1台用意できればOKという手軽さが魅力的

株式会社ぴーぷるの「消防設備ビル管理システム」。点検管理や作業報告のシステムはモバイル機器との連動も重要なジャンルだけにFileMakerが最も得意とする分野のひとつ

セゾン情報システムズのデータ変換ソリューション「DataMagic」と「DataSpider」。さまざまなアプリやクラウドサービスを利用する上でデータ形式の統一が重要になるが、データベースシステムごとの微妙なデータ形式の違いを吸収してくれるミドルウェアだ

平プロモートの簡易マニュアル作成ソリューション「Manual Generator」。業務マニュアルをiPad1台でサクサク作れる手軽さが売りだが、教育市場などへ展開しても面白そうな仕上がりだった

オープニングセッション中でも紹介された、バンザイクリエイティブの「親子で工場見学ツアー」。iBeaconと連動してロックが解除される仕組みで、見学完了後はレポート形式にまとめられる。iPadとFileMaker Goの組み合わせを最大限に生かしたアプリとなっていた

また、ロビーの隅にはアップルのGenius Barを模した「FileMaker Bar」が設けられ、ファイルメーカーのスタッフによるサポート・相談が受けられるようになっている(要予約)。15分程度だが、開発にまつわる疑問点などをその場でスタッフに質問できる貴重な機会だ

会場は3年連続でJPタワーホール&カンファレンス。JR東京駅丸の内南口、または地下鉄東京メトロ大手町駅または二重橋前駅から徒歩ですぐのJPタワー・KITTE内で開催されており、駅からのアクセスは最高だ。参加は無料で、当日受付も行われている。iOSとの連携でますます注目が高まるFileMakerのソリューションを知るにはいい機会なので、時間のあるかたはぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。