酒好きにとって、酒はどこで飲んでも旨いもの。しかし、遠い異国の地で味わう酒にまた格別の味わいがあることもまた、酒好きにとっては衆目の一致するところだろう。今回は、香港で毎年開催されている最大級のグルメイベント「香港ワイン&ダイン・フェスティバル」の模様を紹介する。異国の中で、さらに異国の酒や料理に舌鼓を打つという贅沢体験を味わおう。

「香港ワイン&ダイン・フェスティバル」は酒好きの楽園!

海と夜景に挟まれた会場

会場となるのは、中環(セントラル)・ハーバーフロント・イベントスペース。香港の中心的な商業地区で、日本で言うと東京の丸の内に近い、と言えば雰囲気が伝わるだろうか。九龍(カウロン)や尖沙咀(チムサーチョイ)などの中心市街地からは車や地下鉄でもアクセスできるが、時間に余裕があれば「スターフェリー」で海を渡って行くのもオススメだ。

フェリーから見た中環(セントラル)・ハーバーフロント・イベントスペース。高いビル群の中にある観覧車が目印

会場の広場は、一方を海、もう一方を摩天楼に囲まれており、夜になればどこを向いてもきらめく夜景を楽しめる。そんな中で、400軒以上立ち並んだ世界の酒や料理のブースを巡り、舌鼓を打ちながら散策するという、まさに夢のようなイベントなのだ。

日没後の様子。海を背に、摩天楼に囲まれたロケーションだ

試飲&試食用パスは3種類

入場料は30香港ドル(約390円・以下、HKD)で、65歳以上か3~12歳の子どもは15HKD、3歳以下の子どもは無料となる。入場料に加えて別途、飲食物との引き換えグッズ「Wine Pass(ワインパス)」を購入する仕組みだ。なお、会場には現金で購入できる飲食物もあるため、必ずしもワインパスを手に入れる必要はない。

ワインパスは、飲食物との引き換えに使うトークンの数と、持ち帰り可能なグラスの種類が異なる3つが用意されている。プラスチックのワイングラス+トークン5個の「Classic Wine Pass Lite」は100HKD、シュトルツル社のワイングラス+トークン8個の「Classic Wine Pass」は200HKD。リーデル社のワイングラス+「グランド・パビリオン」専用トークン8個の「Grand Wine Pass」は600HKDだ。もちろん、各グラスは持ち帰り可能。

ワインパスは3種類。安く抑えつつがっつり楽しみたい人には「Classic Wine Pass」がオススメだ

ちなみに、飲食物の相場は1トークン~3トークン。8トークンあれば、酒の飲み比べも料理の食べ比べも楽しめる。もちろん、足りなければ会場内で追加購入も可。通常のトークンは1個20HKD、「グランド・パビリオン」専用トークンは1個50HKDとなる。通常トークンと「グランド・パビリオン」専用トークンに互換性はないのでご注意を。なお、「グランド・パビリオン」の詳細については後述する。

ワインパスは、ワイングラスの入ったケースと一緒にもらえる。トークンはICカードにチャージされている

香港グルメに高級ワインの試飲も

ブースはいくつかのエリアに分かれている。「ワイン&ダイン」の名の通り、ワインの種類は最も豊富。ドイツ、イタリア、フランス、フランスのボルドーなど、エリア別にワインや料理を楽しめる「カントリーパビリオン」は全体の1/3ほどの面積を占めていた。

会場に設置されていた地図。やっぱりワインを提供するブースが多い

ほかにも、ビール好きにはたまらないクラフトビールコーナー、日本酒や日本の居酒屋メニューを楽しめる「ニッポンディライト」なんてコーナーもある。フードも充実しており、香港市街で人気の飲食店も多数出店。名物グルメを楽しめる。

場内には日本のブースも

香港グルメも多数!

注目は、専用トークンでのみ試飲・試食が可能なブースを集めた「グランド・パビリオン」だ。ここでは、ボトル1本900HKD(約1万700円)以上のラグジュアリーなワインや、そんなワインに合う高級チーズ、生ハムなどの試飲・試食を楽しめる。

「グランド・パビリオン」では高級ワインの試飲ができる

今回の会場では、"世界で最も影響力のあるワイン評論家"として知られるロバート・パーカー氏が100点満点をつけた赤ワイン「Pontet Canet Pauillac 5eme Cru 2010」(売価2,700HKD・約3万5,100円)も試飲できた。約40mlの試飲に必要なトークンは3個。ワインに詳しくなくとも、その複雑な香りや味わいを堪能すると思わずため息が漏れる。

写真左が「Pontet Canet Pauillac 5eme Cru 2010」(売価2,700HKD・約3万5,100円)。右の「Montrose St Estephe 2eme Cru 2010」(売価3,500HKD・約4万5,500円)も100点満点のワインだ

香港流カクテルに酔いしれる!

ワイン以外で注目したいのが、香港ならではの個性的なカクテルを楽しめる「ホンコン・バー」ブースだ。

「SOHOFAMA」では、大きなフラスコのような器具にスモークを充満させ、その中に菊花茶・ウォッカ・ワインなどを混ぜて作る「花落誰家」(3トークン)を楽しめた。作る過程もできあがりも美しく、飲めば薫製のような風味と花の香り、かすかに甘い口当たりを楽しめる、香港らしいオリエンタルなカクテルとなっている。

フラスコのような形のガラス瓶に煙を満たし……

お酒をシェイクして……

煙で満ちたガラス瓶の中に入れる

氷で冷やしたグラスに注いで

菊の花を落とせば「花落誰家」(3トークン)のできあがり

他にも、「HAIG CLUB」や「STOCKTON」など、多数のブースでオリジナルカクテルを楽しめた。日本ではなかなか味わえない、独自の発想で作られたカクテルは異国情緒もたっぷり。夜景と一緒にじっくりと味わいたい。

「HAIG CLUB」の「HAIG'S BAMBOO CANE」(2トークン)

「STOCKTON」の「Panama Hat」(3トークン)

"食"を推進する香港でグルメ旅を

美食と美酒を存分に味わえる「香港ワイン&ダイン・フェスティバル」は、香港人にももちろん大人気! 取材を終えて会場を出ると、一般受付には長蛇の列ができていた。

一般受付には長蛇の列が

香港ではこのイベントを皮切りとして、1カ月間に渡って展開される食のプロモ―ション「香港 November Feast」が11月に開催されている。多様なグルメも大きな魅力の香港。食を楽しみたい人は、この時期に旅するのもいいだろう。

※日本円換算は1香港ドル=13円で計算。記事中の情報・価格は2016年10月取材時のもの

取材協力: 香港政府観光局