11月7日、ソフトバンクグループは2017年3月期第2四半期決算説明会を開催した。プレゼンテーションに立った孫正義社長が最も言葉を重ねて語ったのは、かねてより説く「シンギュラリティ」に対し、先手を打つ形で大規模な投資に乗り出す意義と覚悟だった。

ソフトバンクグループ 代表 孫正義氏

足かせ解消で「世界へ転ずる」

この日登壇した孫氏は、数字を挙げるより先に「忙殺の日々に自らが保守的になっていたことを猛反省している。我々はもっと積極的にテクノロジーの進化、業界の発展に取り組んでいかなくてはならない」と切り出した。

売上その他の利益から損失・税金を差し引いた当期純利益は+80%の7,662億円

連結業績を見ると、売上高は前年同期比-0.2%の4兆2,718億円。営業利益は同4%増の6,539億円。このうち国内通信事業は営業利益9%増。累計契約数は前年比+69万、解約率は1.06%と改善し、家庭向けインターネット接続サービス「SoftBank 光(光回線)」の累計契約数が前年同期の71万から270万へと大きく増加するなど、2016年度は12期連続の増収。2016年度フリーキャッシュフロー5,000億円の見通しに変更がないことを示した。

国内通信事業は堅調。特に「SoftBank 光」は大きく成長

また、ヤフージャパンでは広告事業の主戦場がPCからモバイルへ移ることで懸念された広告価値の減損を回避し、イーコマース事業の成長も手伝って増収を続けている。

一方、「これまで3年間、連結業績の足を引っ張り、しかも借金が増えた一番の要因」であった米スプリントについては、固定費・設備投資を減らしながらネットワークを改善し、解約率も過去最良となり純増ベースへ転じた。2016年度の営業利益は12~17億ドルという見通しを示した。

スプリントは増収へ転換。コストを削減しながらMNP純増へ

「何年か経てば史上最も大きな規模の反転であったと、アメリカ経済史の1ページに名を残す事例になるのではないかと、自信を深めつつあります」と孫氏は話す。

グループの"足かせ"であったスプリントにようやく反転の目処が付いてきた格好だ。しかし、孫氏にとっての命題は業績改善そのものではなく、グループとしてようやく「もう一度世界に転ずることができるステージに来た」ということだ。