2016年8月に公開されたように、Intelは同社の10nm Custom Foundry ServiceでARMのPOP IPやArtisan Physical IPを利用可能とするが、これに関するそのものズバリの「Enabling Your Next Generation Mobile Devices With Intel Custom Foundry & ARM」というセッションがARM TechCon 2016にて行われたので、この内容をご紹介したい。ちなみに前半はIntelのAnurag Handa氏(Photo01)、後半はARMのRon Moore氏(Photo02)が担当された。

Photo01:Anurag Handa氏(Sr.Director of Marketing and Business Development, Intel Custom Foundry)

Photo02:Ron Moore氏(VP Marketing, Physical Design Group)。2016年5月のTechDayでAltemisの説明を行った方である

さて、まずはHanda氏によるIntel Custom FoundryというかIntelのファウンドリの紹介である。同社は世界のあちこちに製造拠点を保持しており(Photo03)、単にプロセス技術だけではなくパッケージングやテストに関しても先端サービスを提供できるとする(Photo04)。また同社のファブはCopy Exactlyの技法をフルに生かしており、世界中のファブで均質な品質の製造が可能になる点もメリットとしている(Photo05)。

Photo03:大阪については、現在立ち上げている最中といった感じだ。なぜ東京ではなく大阪か、というと(立ち消えになってしまったパナソニックはともかくとして)大阪の方が見込み客となりそうな企業が多そうだからというあたりだろうか

Photo04:特にHDMTは、従来よりも大規模なテストを高速に実行できるのが特長とHanda氏は力説していた

Photo05:これは特に災害などによるサプライチェーン断絶の対抗策として効果的である

このあたりまでは目新しい話ではないが、面白いのはここから。Intelは22nmのFPGAと一部のネットワークプロセッサ(Netronomeが買収したIXP28xxシリーズや、その後継製品)の製造をまず請け負い、14nmではAlteraのFPGAの製造、そして先般、10/14nmでLGやSpreadtramのモバイルSoCの製造を行うことを発表したが、これに向けて2種類のプロセスが10/14nm世代で用意されることが明らかにされた(Photo06)。

Photo06:22nmのモバイル向けはなし。まぁ今さらIntelの22nm LowPowerを選ぶ理由もないだろう

14nmではそもそも14と14+の2種類があるが、Low Powerは14を、General Purposeは14+をそれぞれあてるものと思われる。一方10nmでは10/10+/10++の3世代があるが、最初の10がGeneral Purpose(GP)、次の10+がHigh Performance Mobile(HPM)に相当することになるようだ(これは後述)。

その10nm、ここではGPとHPMとIntel自身が表明しているのは、ファウンドリサービスでは一般的な名称を使うほうが判りやすいという判断なのであろう。Artisanや将来のPOP IPはこの10HMP向け「のみ」に提供されることになる。

最後にEDAツール回りであるが、Ansys/Cadence/Mentor Graphics/Synopsysといったツールベンダによるサポートが提供される予定であることも発表された(Photo07)。

Photo07:この話は公式発表にもあった。他にAricent/asicNorth/Imagination Technology/Northwest Logic/OpenSilicon/SANKKALP/Synapse design/Wiproなどがエコシステムパートナーとして名を連ねている