トヨタ自動車は11月1日、同社のコネクティッド戦略について東京・お台場のメガウェブで発表会を行った。車両ではなく情報通信を主役とした、同社としては珍しい発表会。トヨタはそこで何を語ったのか。その戦略は成功するのか。発表された内容から読み解いていくことにしよう。

つながるクルマが重要なビジネス基盤に

これまでトヨタの発表会に数え切れないほど出席してきたけれど、その経験から言っても、今回のコネクティッド戦略発表会は変わっていた。

クルマそのものではなく、クルマとクルマをつなぐコネクティッド技術をテーマとしたことがそうだし、登壇したのが同社専務役員で4月に設立されたコネクティッドカンパニーのプレジデント、友山茂樹氏ただひとりであることも異例だった。モノだけでなくコトの分野まで踏み込んだ内容も興味を引いた。

コネクティッド戦略説明会に登壇したトヨタの友山専務

オープニングムービーに続いて姿を現した友山氏はまず、自動車業界のコネクティッド環境について言及。コネクティッドカーの登場、ライドシェアやカーシェアに代表されるクルマの利用形態の変化、ビッグデータによる新たなサービスやビジネスの創出を挙げ、ビッグデータを核とした「つながるプラットフォーム」が自動車メーカーにとって重要なビジネス基盤になっていると述べた。

もちろんトヨタはかなり前から手を打っている。2002年にはDCM(車載専用通信機)を実用化し、3年後にはレクサスに標準搭載を始めた。2008年には北米や中国にも展開。2011年には地域の電力の需要・供給を統合管理する「トヨタスマートセンター」を構築している。先日発表された、J.D.Powerの2016年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査では、レクサスがラグジュリーブランドで5年連続1位を獲得。その理由の1つがコネクティッド性能だとトヨタは考えている。

コネクティッド性能がレクサスの人気に一役買っているとみるトヨタ

しかしトヨタはこれだけでは不十分と考えた。そこで4月に設立したのがコネクティッドカンパニーだ。従来は別々に行っていた戦略企画、車載機開発、インフラ開発を一体で進めることで、クルマの新しい魅力や価値を作り出すとともに、期待以上のスピードとフットワークでモビリティ社会の発展に貢献し、自動車ビジネスの変革を目指すものだ。