NTT西日本関西事業本部およびNTTドコモ関西支社は10月26日、堺泉北港堺2区基幹的広域防災拠点(堺市堺区)で、南海トラフ大地震などの災害時を想定した「NTT西日本グループ・NTTドコモグループ関西合同防災訓練」を実施しました。NTTグループ各社は毎年さまざまな災害を想定した訓練を行っていますが、NTT西日本・NTTドコモ関西が自衛隊と連携した実動訓練を公開するのは今回が初めてです。

会場には巨大なモニターが設置され、自衛隊ヘリから空撮した映像が提供されました

NTT西日本はドローンを使用した光ケーブルの通線作業、NTTドコモ関西は自衛隊ヘリにて空輸された可搬型衛星の運搬・設営を行うなど、本番さながらの本格的な訓練となりました。前編では、NTT西日本の訓練模様を災害対策への取り組みとあわせてお伝えします。

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2016年4月に発生した熊本地震では、ネットワークをつなぐ中継ケーブルが9区間被災しました。そこで立野地区のケーブル被災では、応急復旧として多機能マルチヘリ(ドローン)が使われました。

NTT西日本の所有するドローン。飛行距離は500m、飛行高度は地上比150m。カメラを搭載しており、映像伝送機能や遠隔カメラ操作も可能

地震によってケーブルが断線した場合、瓦礫によって人が作業できなかったり、山や川を越えなければならない場合があります。そこで活躍するのがドローンです。ケーブルをドローンに取り付けて移動させ、ドローンの通線紐切り離し装置を遠隔で操作することで、目標点に正確にケーブルを届けられるようになりました。

光ケーブル応急復旧訓練。地面のブルーシートは川を想定しています

今までは釣り竿やロケットランチャーを使って、ケーブルをポイと目標点に投げるようなアナログな方法が主流でしたが、立ち入り困難な危ない箇所でも、正確かつ安全に通線できるようになりました。またNTT西日本がドローンを所有することで、業者への機材の手配が不要になるため、素早い対応につながります。

一度目標点に赤いボール(左の地上作業員の足元にある)を落下させて目印にし、ケーブルを持っていきます

災害時に情報収集にかかる時間の短縮と、復旧計画立案の迅速化も実現します。被害状況を把握するため、これまでは作業員が被災現場まで移動し、各場所ごとに映像で撮影する必要がありました。もちろん何箇所も繰り返し移動する必要があり、立ち入り困難な場所は未確認のままです。

しかしドローン導入により、人力では不可能だった立ち入り困難箇所の被災状況も把握できるようになりました。さらに映像伝送ツールと組み合わせることで、飛行映像とルートが災害対策室にリアルタイムで共有されます。迅速な被災状況の把握と正確な対応が実現すれば、より効率的に復旧を進められるようになります。

ルートは事前にPCで手動入力し、複数のポイントを設定します。あとはドローンが自律飛行し、離陸から着陸まですべての動作を自動で行います