ボーズは11月1日、ネットワーク対応ワイヤレススピーカー「SoundTouch wireless music systems」をアップデート、音楽ストリーミングサービス「Spotify」との連携機能を追加すると発表した。対象製品は「SoundTouch 10」「SoundTouch 20 series III」「SoundTouch 30 series III」の3機種。専用アプリをアップデートすることにより、すぐにSpotifyのサービスを利用できるようになる。

SoundTouch wireless music systemsのラインナップ。このうちWave SoundTouchを除く3モデルがSpotify連携機能に対応した

発表会冒頭では、ボーズ マーケティング本部 本部長の橋本理智氏がリスニングスタイルの変化について説明。2015年は、ワールドワイドでは音楽ダウンロードやストリーミングの売上がCDなど物理メディアを超え、米国でもストリーミングが34.3%と音楽売上の最大シェアを獲得したことに触れたうえで、「お客様視点からのイノベーションを実施し、時代の先を行くニーズを満たす」(橋本氏)とボーズの音楽ストリーミングに取り組む姿勢をアピールした。

ボーズ マーケティング本部長 橋本理智氏

そのような背景のもと、新機能として用意したのがSpotifyとの連携だ。機能は専用アプリ「SoundTouch Controller」に統合された形で提供され、スピーカー側のファームウェア更新もあわせて実行できる。今後販売されるSoundTouchシリーズ3モデルは、購入直後からSpotify連携機能を利用できるという。ただし、連携機能を利用できるのはSpotifyのプレミアム会員のみで、途中で音声広告が入る無料会員の場合はSpotify純正アプリからBluetoothで音声を飛ばす形となる(一般的なBluetoothスピーカーとしての動作)。

続いて登壇したボーズ プロダクトマネジメント部 担当部長 中山健太郎氏は、「いわゆるIoT機器として、クラウドから直接楽曲を再生できる。Wi-Fiを通じて複数の端末に再生指示を出す、マルチルーム再生にも対応する」と、Spotifyを利用した新しいリスニングスタイルを紹介した。なお、米国など海外ではDeezerやiHeartRadio、Pandora、Amazon Musicとの連携サービスを提供している。日本で順次対応する見通しはあるものの、具体的なスケジュールは未定だという。

ボーズ プロダクトマネジメント部 担当部長 中山健太郎氏

今回提携が実現したスポティファイジャパンの代表取締役 玉木一郎氏も登壇、サービスの概要と今後の見通しについて語った。Spotifyはワールドワイドで月間アクティブユーザは1億人以上、国内外4,000万を超える楽曲を擁するサービスに成長。合法的に楽曲提供を行うフリーミアムモデルであること以外にも、ビッグデータを複雑なアルゴリズムで分析し新しい音楽を提供すること、世界中にいるキュレーターが作成するプレイリストを楽しめることなどの特長を紹介した。

スポティファイジャパン 社長 玉木一郎氏

スマートフォンを使わずにSpotifyを再生

Spotifyとの連携は、iOS/Androidアプリ「SoundTouch Controller」により実現される。発表会で特に触れられることはなかったが、Spotifyは配信サービスにアクセスできるAPIをサードパーティに公開しており、ユーザ認証を含む音楽再生機能をアプリへ追加できる。Spotify純正アプリを呼び出すなどの方法ではないため、操作体系をシームレスに統合できることがポイントだ。発表会にはタッチ&トライコーナーがあり、この最新版アプリを試すことができたため、その機能をかんたんにお伝えしよう。

SoundTouchシリーズはWi-Fi対応のため、Spotifyのサービスに直接アクセスできる

最新版アプリでは、画面に「Spotify」アイコンが表示される。これをタップすると、Spotifyが提供する膨大な数の楽曲を検索し、自由に再生できる。曲名のほかアルバム名、アーティスト名、プレイリストで検索することが可能だ。

専用アプリ「SoundTouch Controller」は、最新版にアップデートするとSpotify連携機能を利用できる

検索した曲やアルバム、プレイリストは、ドラッグ&ドロップで1から6までのプリセットに登録できる。この数字はSoundTouch天面にあるボタンと連動しており、登録しておけば以降は、SoundTouch本体のボタンを押すだけで対応するプリセットの内容を再生可能だ。スマートフォンから都度再生指示を出すこともできるが、朝の忙しい場面や就寝時など、スマートフォンなしに操作したい場面では重宝しそうだ。

専用アプリ「SoundTouch Controller」は、最新版にアップデートするとSpotify連携機能を利用できる

プリセットには楽曲単位でもアーティスト単位でも登録できるが、Spotifyのプレイリストは日々更新される「パーソナルなラジオ」として機能するため、よりプリセット向きといえるだろう。Spotifyの膨大な楽曲のなかからかんたんに自分好みのプレイリストを作れる「パーフェクトプレイリスト」機能も用意されているので、あわせて活用したい。

シリーズ最上位機「SoundTouch 30 series III」

シリーズ最上位機「SoundTouch 30 series III」で数曲を試聴したが、通信を伴うだけに音が出るまでのタイムラグは若干あったものの、ボーズらしいメリハリある低域と伸びやかな高域を楽しめた。配信フォーマットはOgg Vorbis/320kbpsという好条件なものだけに、CDと聴き比べてもそれほど違和感はないだろう。アプリの操作性も、スマートフォン上の楽曲を再生するときと変わりなく、シームレスにSpotifyのコンテンツにアクセスできる。プレミアム会員は月額980円と有料だが、SoundTouchシリーズを楽しむには必須の機能となりそうだ。