福岡の名物と言えば「豚骨ラーメン」と答える方が多いだろう。しかし、実は地元では「うどん」がアツイ! うどんの発祥地である福岡市では、もともと合わせダシとやわらかい麺が特徴の「博多うどん」が主流だったが、最近では、コシのある麺が特徴の北九州市発のうどん「豊前裏打会」と呼ばれるグループが勢力を拡大している。

今回は、中でも人気の店舗、「大地のうどん」を徹底紹介。渦を巻いたような特大ごぼう天にも注目だ!

うどんへの熱き思いが拡大中の「豊前裏打会」

大迫力の「ごぼう天うどん」(480円)。思わず舌を火傷しそうなほど熱々のごぼう天!

博多うどんに比べて麺にコシがあり、大きなごぼう天がのっているのが特徴の豊前裏打会。発祥地は、日々行列が絶えない「津田屋官兵衛」と呼ばれる北九州市小倉のうどん店だ。

ここのうどんが好き過ぎて、いつしか集まってきた人たちが仲間となり、店で修行を積み、その後独立し、うどん店を開いたことが同会の始まり。取材に訪れた「大地のうどん博多駅ちかてん」若大将の森田浩平さんによれば、決め事はただ1つ、「うどんにアツイ情熱を傾けること」だそうだ。

豊前裏打会に加盟している店舗では、麺作りに同会独自の粉を使っている。しかし、同じようにうどんを作っていても、店ごとに味が微妙に違うそうだ。「それだけうどんはデリケートです。生地を触って、におって、五感で感じてうどんを作っています」。現在、福岡市を中心に、うどんに熱い情熱を持った会の仲間がどんどん増えているという。

まるでイカ刺しのような美しさ! 博多うどんとは一味違うコシのある麺

麺の美しさが際立つ「ざるうどん」(450円)

本家・津田屋官兵衛の味に近づきたい! 超えたい!! という思いで毎日うどんを作る森田さん。ツヤツヤと輝く細い麺は美しく端麗で、まるでイカ刺しのよう。しっとりとしたなめらかな食感で、程よいコシが絶妙だ。

「注文が入ってからうどん玉をのばし、切って、ゆでて締めます。うどん玉は、その日の気温によって夜使う麺用、お昼に使う麺用と分けています。時間をずらして気温や天候をみながら熟成させています」。カウンター前には時間差で仕込んだうどん玉が、ゴロゴロと並んでいる。うどん玉の熟成具合によって、"今"使ううどん玉を決めているのだ。

いたるところに置いてあるうどん玉。

また、天ぷらも注文と同時にあげる。出来立てにこだわっているだけあって、待ち時間も、他のうどん店と比べると、長くなってしまうという。「それでも待ってくださるお客さんの気持ちに応えられるうどんを作っていくだけです」と森田さんは語る。

丼を覆いつくす、渦巻きのごぼう天に驚愕!!

ごぼう天、やっぱりデカイ……!!

そして何より魅力的なのが、麺が見えなくなるほどに激デカサイズのごぼう天だ。ごぼうが渦巻いたように揚げられていて、丼から余裕ではみ出ている。揚げたてをスープにつけると、ジューっと激しく音を立て、つゆがしみこんでいく。熱々でサクサク! ヤミツキになるおいしさだ。

「10年前にお店を開いたときは、お客さんが少なかったので、『次も絶対に来てほしい』という思いから、自然と揚げるごぼうの量が多くなっていきました」。巨大なごぼう天うどんを出すと、お客さんが「わ~! すごーい! 」と驚き、別のお客さんを連れてくる。そこからうまくサイクルが回り、一気に繁盛店へと駆け上がっていったとか。今では1日50kgのごぼうが天ぷらになっていくという。

食べにくい、という方には、ごぼう天を別皿で提供したり、バラバラに揚げたものをのせたりする対応も可能とのこと。食べたら必ず誰かに教えたくなる、魅力いっぱいの1杯。ぜひ足を運んでみてほしい。

●information
大地のうどん 博多駅ちかてん
住所: 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1朝日ビル地下2階
アクセス: JR博多駅から徒歩3分
営業時間: 11~16時、17~21時
定休日: 日曜日

※記事中の情報・価格は2016年10月取材時のもの
※価格は税込