去る10月19日、THE GRAND HALL 品川でサービスマックス主催によるフィールドサービスの祭典「MAXIMIZE TOKYO―アフターサービスのその先へ―」が開催された。本稿では、同イベントの基調講演の模様をレポートしよう。

「アフターサービスのその先へ:IoT×クラウド×モバイルで実現する次世代型フィールドサービス」と題した基調講演では、米サービスマックス CEOのデーブ・ヤーノルド氏が登壇した。

米サービスマックス CEO デーブ・ヤーノルド氏

ヤーノルド氏は初めに、過去10年の製造会社における機器の売上に対するサービスの売上比率が約2倍に達しているデータを示し、「サービスは成長の大きな原動力」と語った。サービスの売上が増加している理由としては、利幅の増加、反復性のある売上、不況に強いといった点が挙げられるという。

また、ITおよびサービス責任者の73%が、フィールドサービス管理が収益と顧客満足の推進に貢献しているとのデータからは、「サービスの活用は製品のコモディティ化を防ぎ、収益と顧客満足の推進力になっている」と続けた。さらに、同社の年次顧客調査の結果を示し、「モバイル活用により生産性が向上」が26%、「サービス事業の収益増加」が22%、「修理時間の短縮」が19%、「初回解決率の向上」が18%と、より具体的なフィールドサービスの効果について強調した。

イノベーションにより「製品としてのサービス」へ

ここで同氏はあらためて「サービスとは何か」について、現在と将来の視点で語った。現在のサービスは、主に販売や修理といった領域に対応している。これが将来的にはイノベーションにより「製品としてのサービス(Service as a Product)」に変わっていくという。グローバル規模で数多くのフィールドサービス支援実績を持つ同社は、こうしたサービスの変革にあたり必要な各種ツールを提供しているのだ。

具体的には、成熟度を評価する「Field Service Maturity Assessment Tool」、ビジネス価値を可視化する「Business Value Realization Output Report」、フィールドサービスに関する学びの場「FIELD SERVICE UNIVERSITY」、現場の人々の生活を体験する「バーチャルライド」、さらには「最適化エンジン」「権限付与エンジン」「モバイル/同期エンジン」「サービスフロープロセスエンジン」「レポーティング/メトリクスエンジン」という5つのコアテクノロジで構成された「フィールドサービスビジネスプラットフォーム」などが挙げられる。

これらに加え、同氏は最新イノベーションも紹介した。「コネクテッドフィールドサービス」では、サービスマックス上で自動的に作業指示書を発行したり、サービス担当者が修理後にマシンデータへアクセスして確認したりすることが可能。「サービス・パフォーマンス・メトリクス」では、要員稼働状況(Utilization)や初回解決率(FTF)など各指標におけるパフォーマンス測定が簡単に行える。さらに、どこにIoT機器が設置されているのかを部品単位で判別できる「インストールド・ベース・アプリケーション」、現場でも需要が高まっているモバイルに最適化された「ユニファイド・モバイル・アプリケーション」と、さまざまな角度からの支援を用意。こうしたツール群により、サービスマックスでは"People(人)・Process(プロセス)・Product(製品)・Promise(保証)"という4つの"P"をつなぐ、フィールドサービスを包括した機能を提供しているのだ。

最後に同氏は「常に進化を続けるサービスの世界において、サービスマックスはIoTが持つ本当の価値を引き出し、収益と顧客満足の拡大に貢献します。今後も皆さまの夢をかなえられるプラットフォームとして、ぜひ事業変革のお役に立ち、長期にわたりお互いに利益を享受できるような関係を続けていきたいと考えている」と熱意を語った。

3つのポイントを押さえてサービスエクセレンスにつなげる

続いては、米サービスマックス 製品担当上級副社長のレイ・カサイ氏が「サービス2.0へのロードマップ:最先端テクノロジーで実現するサービス事業の収益化と未来の成果型サービスモデルとは」と題した講演を行った。

米サービスマックス 製品担当上級副社長 レイ・カサイ氏

同氏は「サービスマックスは、2007年から9年間で25のリリースを行ってきた。21業種400社以上のお客さまに利用いただいており、その活用状況はさらに拡大を続けている。こうしたなかで新たなサービストランスフォーメーションを実現するのが、『柔軟性・包括性・拡張性』という3つの設計原則を重視したフィールドサービスビジネスプラットフォーム」と語る。

ここで同氏は、サービスの成熟度を3つのステージに分けて解説した。まず、サービスがコストセンターであり、効率性によって定義する「ステージ1」。そして、サービスによる差別化を図るべく、カスタマーエクスペリエンスにより定義する「ステージ2」。さらにサービスが製品となり、サービスエクセレンスにより定義する「ステージ3」だ。

このサービスエクセレンスまでのロードマップとして、同氏は「人を強化する」「顧客を知る」「目標を高く置く」という3つの重要なポイントを挙げ、デモンストレーションを交えながらそれぞれに対するサービスマックスの有用な機能を紹介した。

最後に同氏は「未来のフィールドサービスが、今まさに現実になろうとしている。サービスマックスで3つのポイントを押さえることにより、サービスエクセレンスにつなげられる」と語り、講演を締めくくった。