英国ダイエット事情に迫る!

こんにちは、トイアンナです。西も東も、ダイエットは大抵の先進国で課題になっています。といっても、日本の「ダイエット」と同じ意味とは限りません。

アメリカやヨーロッパを想像するとき、私たちはついドラマの主人公やセレブばかりを想像して「ボン・キュッ・ボン」のナイスバディが多いと夢想しがちですが、実際にはタルのような男女がのしのし歩いていることも多く、海外旅行でびっくりされる方もいるのではないでしょうか。

さて、私が現在住んでいるイギリスもそんな国の1つ。体格指数(BMI)でいうと、日本では「BMI25以上」は肥満です。イギリスのBMIの平均は27.0(日本は22.5)、女性の平均的な服のサイズは14。これは日本のXXLに該当します(「Mail Online」より)。日本女性からすれば、どうすりゃそこまで太れるんだと質問したくなるレベルです。

そこで今回は、ヨーロッパでもっともデブになる恐れのある国と言っても過言ではない、イギリスのリアルなダイエット事情をお届けします。

ダイエットを考えるのはBMI40から!?

まずは、「5:2ダイエット」を紹介するイギリスのウェブサイトから「ダイエット成功体験」を洗い出してみました。イギリスで流行中の5:2ダイエットとは、週5日間は好きなものを食べて、残りの2日間は摂取カロリーを制限した"プチ断食"をするというものですが、体験談を読んでいると、そもそものところで何か違和感がある。痩せることを考えるスタートラインの体重がおかしいのです。体験談のページにはこんなコメントが。

I haven’t been below 200 lbs in well over 30 years.
(訳: この30年間、90kg以下になったことがありませんでした。)

※lbs……重さの単位。ポンドと読む。1ポンドは約0.45kg。

90kgだと大抵の場合、男女関係なく健康のためにダイエットを「しなくてはいけない」でしょうね……。その他「BMIが40になったので痩せようと思った」など、ダイエットを考えるタイミングはその前にいくらでもあったでしょう! とびっくりさせられるコメントがたくさんありました。

体重をどんぶり勘定

もともとがダイナミックな体形だけに、痩せる重さも日本人のように1~2kgではガタガタ言いません。太る単位もおおざっぱなら、痩せっぷりも見事です。

中にはこんな体験談も!

I have fluctuated between 115-190 pounds for the last three decades.
(訳: 過去30年で約52kgから約86kgを行ったり来たりしていました。)

約34kgの差を「行ったり来たり」でひとくくり……。待って待って、その行ったり来たりに軽い子供の体重がまるっと入っているのはさすがに雑すぎやしませんか!?

減らす体重の単位すらもキロ単位に比べてざっくり。ちなみに、現在イギリスでのみ使用されている重さの単位に「stone(ストーン)」があります。ダイエットでは頻繁に登場しますが、1ストーンは6.3kg。つまり、約6kg単位で「減った、増えた」と言い出すわけです。さすが元の体重が重いと減り方もすさまじい……!

お寿司はダイエットフード!?

さて、量るも痩せるも大ざっぱなイギリスですが、ダイエット方法も日本の常識からはかけ離れています。なんと、ダイエットフードにお寿司が登場します。「痩せない! それ絶対に痩せないよ!! 」と思わず言いたくなりますが、体験談を見るとどうも痩せられているようです。

その理由は、ダイエット前の摂取カロリーにあります。イギリスでは、寿司は「ヘルシー志向の人たち」が食べるこじゃれたファストフード。なぜなら、イギリス料理がジャガイモや小麦粉たっぷりの炭水化物パラダイスなので、お寿司ですら比較的ヘルシー&ローカロリーになってしまうのです。

一部の良心的な記事では、きちんとお寿司でダイエットする方法を教えてくれます。この記事では、「寿司ダイエットでは、天ぷらなど揚げ物を食べないこと」との記載が。そうだね、それお寿司じゃないしね。そしてサーモンとマグロがお勧めのダイエット向きネタだそうですが、これはイギリスの安いお寿司屋さんに白身魚が少ないことも影響していそうです。にしても、サーモンのお寿司で痩せる気がしません……。

イギリスから見習う点もある

日本から見れば完全にイロモノのイギリス式ダイエットですが、有酸素運動や体幹トレーニングといった運動と組み合わせる点も特徴。運動と食事制限をバランスよく取り入れたダイエットが多いのは見習いたい点です。

先ほどの国際比較によると、日本女性の平均BMI(21.7)は最貧国と同じレベルまで低く、通常の栄養失調と紙一重。特に近年、日本人の摂取カロリーは終戦直後のレベルまで低下していることが指摘されています(平成25年「国民健康・栄養調査報告」より)。

イギリス人が食べすぎと笑うことは簡単ですが、日本人が食べなさすぎで栄養バランスが偏りすぎていることも事実でしょう。摂取カロリーはアジア人の体格に合わせながらも、栄養バランスに気を付けて適度な運動をするイギリス式ダイエットを参考にする。どちらが良い・悪いの評価をするよりも、いいとこ取りで健康的にダイエットするのはいかがでしょうか?

※本コラムは個人の体験や取材に基づくものであり、医療的な効果などを示唆・保証するものではありません
※画像は本文と関係ありません


著者プロフィール: トイアンナ

外資系企業で約4年勤務。キャリアの一環としての消費者インタビューや、独自取材から500名以上のヒアリングを重ねる。アラサー男女の生き方を考えるブログ「トイアンナのぐだぐだ」は月間50万ページビューを記録。現在もWebを中心に複数媒体でコラムを連載中。