Appleは10月25日にiOS 10.1、watchOS 3.1を配信した。このアップデートには不具合の修正や、iPhone 7 Plus向けのポートレート撮影モード(ベータ版)などが含まれているが、日本のユーザーにとって最大のニュースはApple Payの日本導入だ。

Apple Payは2014年、iPhone 6登場とともに発表されたモバイル決済サービスである。iPhone 6にNFCを搭載し、クレジットカードやデビットカードのトークンを収め、指紋認証と組み合わせて、高いセキュリティと利便性を発揮する決済システムを実現するものだ。現在、英国、カナダ、オーストラリア、中国などの国や地域でスタートしており、2016年10月に日本でもサービスインした。

米国内ではサービスを開始するにあたり、Appleには乗り越えるべきハードルが2つあった。

1つ目は、カード発行銀行とクレジットカードのネットワークの同意を得ることだ。Apple Payの仕組みは、決済に際して、カード発行銀行がAppleに手数料を支払う仕組みを採っている。カード発行銀行にとっては、決済ごとに新たな手数料支出を強いられることになるため、交渉が必要となる。ただ、利用者の店頭・オンラインでの利便性の向上と、スキミングや不正利用を防止できるセキュリティの向上は、結果として、カードを使った決済量を増やすことができる。同時に、不正利用時のカード再発行等の事務手続きや、不正利用分の補償などのコストを低減するメリットも見込める。

2つ目のハードルは、利用可能な実店舗、オンラインショップを増やすことだ。筆者は2014年からApple Payを登録して使っているが、米国カリフォルニア州サンフランシスコ近郊においても、Apple Payが利用できる店舗の増加は、実感として薄かった。