スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「Daydream」についてです。

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Googleが提唱する「Daydream」は、スマートフォンでバーチャルリアリティ(VR/仮想現実)を実現するプラットフォームです。2016年5月に開催された開発者会議「Google I/O 2016」で発表され、Android 7.0/NougatからOSレベルでサポートされました。11月に発売予定のヘッドセット「Daydream View」を利用すれば、Adnroid端末でVRを楽しめる環境が実現します。

他のOS/アプリでもスマートフォンでVR環境を実現することは可能ですが、最適化が施されている点がDaydreamの特長です。低レイテンシ(低遅延)はその1つで、ユーザの目と耳から入る情報と頭部の動きで発生する情報に生じるタイムラグを減らすことで、利用時の違和感を少なくします。Android NougatのVRモードは、描画や音声出力で生じる遅延をが20ミリ秒以内に抑えることができます。

Android NougatがグラフィックスAPI「Vulkan」を導入したことも、低レイテンシの実現に貢献しています。描画の効率化/高速化が進んだことにより、高フレームレートの描画パフォーマンスが改善され、ジャイロセンサーやモーションセンサーで測定された情報をより短時間に画面へ反映させることが可能になりました。

「Unity」と「Unreal Engine4」というゲームエンジンのサポートも、アプリ開発を迅速に進められるという点で重要です。3Dゲームアプリの多くはそれらのエンジンを使い開発されているため、ノウハウも活用できます。VR対応アプリとして移植されるときには、開発期間/コストを圧縮できるメリットもあります。

ただし、高い処理能力を必要とする都合上、Googleは認定制度を設ける方針です。SoCの演算能力やディスプレイの性能、ジャイロセンサーの低遅延性といった要求スペックを満たすスマートフォンにのみ、「Daydream Ready」ロゴの掲示が許されます。

Googleが提唱するスマートフォンでVRを実現するためのプラットフォーム「Daydream」