説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『AirDropは同じアクセスポイントに接続しなければ使えないの?』という質問に答えます。

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iOS 7のとき追加された「AirDrop」は、写真/ビデオや文書などの各種データをiPhone/iPad/iPod touch間でワイヤレス送信する機能です。iOS 8以降はMac(OS X Yosemite以降)ともやり取りが可能になり、便利さが向上しました。ただし、Bluetooth LEのサポートが必須なため、iPhoneはiPhone 5以降、iPadはiPad mini/iPad第4世代以降/iPad Pro、iPod touchは第5世代以降が動作要件となります。

AirDropを使うには、Wi-FiとBluetoothの両方の機能をオンにしておく必要があります。低電力だけれど通信速度が遅いBluetooth LEで通信相手を特定し、データ量がかさむ場合は通信経路をWi-Fiにバトンタッチします。Wi-FiとBluetooth、どちらが欠けてもAirDropは動作しません。

ただし、通信を行う双方ともWi-Fiアクセスポイントに接続する必要はありません。AirDropは2台の端末間でBlutooth LEによる通信を確認すると、Wi-Fiによるピア・ツー・ピア(1対1)の経路を設け、そちらに通信を切り替えます。写真やビデオなど大容量データを高速に転送できる理由はここにあります。

しかも、ピア・ツー・ピアの通信経路は暗号化されるため、高いセキュリティを実現できます。誰のものともわからないWi-Fiアクセスポイントに接続してファイル送信することを思えば、はるかに安全な方法といえるでしょう。

だから、質問の答えは「いいえ、同じアクセスポイントどころかアクセスポイントに接続しなくてもAirDropは使えます」となります。試しに、Wi-Fiアクセスポイントに接続できない場所でAirDropを試してみましょう。環境によっては通信の確立にやや時間がかかることもありますが、双方でBluetoothとWi-Fiをオンにしていれば、AirDropを利用できるはずです。

AirDropはWi-Fiアクセスポイントに接続しなくても利用できます