女刑事が、未解決事件の真相を解明していく連続ドラマ『コールドケース ~真実の扉~』がWOWOWで放送スタートする。アメリカで2003年から2010年まで全7シーズン放送された人気シリーズの日本版となる同ドラマの主人公・石川百合を演じるのは、連続ドラマ初主演となる吉田羊。「主演は性に合わない」と言う吉田が、今回なぜオファーを受けたのか、そして、徹底的にリアルを追求したというドラマの魅力について吉田羊に話を伺った。

吉田羊
スタイリング:梅山弘子 ヘアメイク:paku☆chan(Three PEACE)

――連続ドラマ初主演となりますが、オファーを受けたときはどんな思いがありましたか?

これまでは、自分が主役を演じることはないと思っていました。柄でもないし、性にも合わないんです。今回も、ほかの女優さんのほうが私よりも素敵に演じられてハマると思うんですけど、プロデューサーと監督からは『色がついていない女優さんでやりたい』とオファーをいただいたんです。だったらまっさらな気持ちで臨めるかもしれないと思ってお引き受けしました。

――確かに百合は、刑事ドラマ特有のわかりやすい特徴がないというか、とてもリアルな人物像ですよね

この作品は、あくまで毎話ごとに登場するゲストが主役で、その人たちの心に百合が切り込んでいくさまが面白いんです。なので、私を含めて捜査一課の面々に決めゼリフや、色がなくても成立するドラマというか、どこか主役の座をゲストの皆さんに譲っている感じがするので、色がない・クセがないように見えたとしたら、私的には大成功ですね。

――第1話の、百合がテイクアウトした牛丼を刑事部屋で食べるシーンでは、髪を結んでから器に向かうんですけど、キレイに結ばず髪がぼさぼさのまま食べてましたよね。そこもすごくリアルに感じました

普通のドラマだったらNGですよね。でも、この作品では俳優としての美しさやかっこよさは一切必要ないと思っていて、あくまでも虚構のドラマの中で、百合たちが実際にどこか神奈川県警の中で生きている、ということが大事。リアルに役のことを考えたら、百合は髪をきれいに整えて牛丼を食べるだろうかと。そこは気にせずに『いただきます』と食べるんじゃないかと思ったんです。監督が「生きたドラマにしたい」とおっしゃっていたし、他のシーンでも、リアルを大事にしたいから"かっこよくいこう"という意識は排除していました。

『コールドケース ~真実の扉~』
神奈川県を舞台に、主人公の刑事・石川百合(吉田羊)と捜査一課メンバーである高木(永山絢斗)、立川(滝藤賢一)、金子(光石研)、本木(三浦友和)が、未解決事件、通称"コールドケース"を追う姿を描く。毎話豪華ゲストが登場。仲里依紗、ユースケ・サンタマリア、門脇麦、仲代達矢ら45人のゲストが捜査一課のメンバーと関わっていく。

――リアルに演じるというのは、やりやすかったですか? それともやりにくかった?

百合は、一定の距離を保ちながら人と接しているんですけど、かといって心を開かないわけではない。「この人は!」と思った人には心をフルオープンにして関わっていくんです。それと、気持ちが悪いと思ったことをそのままにしないところや、きちんと答えが出て納得できるまで突き詰めていく頑固さは自分とすごく似ているんですよね。だから、石川百合と吉田羊の境目がわからなくなるぐらい心地よく演じさせていただきました。この作品に限っては、ずっと続編が作られていって一生演じたいと思ったほどです(笑)。

――まさにハマり役ですね。今回は毎話豪華なゲストが登場して、百合が対峙していくことになりますが、ゲストとの共演についてはいかがでしたか?

これだけ密に対峙していくのは初めてですね。特に今回は演技派の方たちが毎回押し寄せてきますので(笑)、まずは"俳優としてのまれてはならない"という気持ちで臨みました。役としても、特に取り調べ室の芝居では、"絶対にこの人から真実の言葉を引き出すんだ"、"負けないぞ"っていう気持ちで演じました。

――特に印象に残っている方はいますか?

仲代達矢さんは、あの神々しい佇まいに圧倒されてしまいました。セリフは少なかったんですけど、セリフのない行間の中に揺れる心が滲み出ているんですよね。その表情や仕草を間近で見ることができてすごく勉強になりました。お芝居をしているというか、何もしない、何もしないでいられるこの強さはどこから来ているのだろうってずっと見ていました。

――未解決事件がテーマということで、百合は対峙するゲストの過去を掘り起こすことになりますよね。時には相手が抱えている傷をえぐることにも繋がる。でも百合は「死に蓋をしてはいけない」と、粘り強く関わっていきます

掘り起こさなければよかったのに、という事件はたくさんあると思います。でも、百合をはじめ捜査一課の面々が、自分のこととして関係者たちの心をすくい取ろうとしている。熱のこもったアプローチをしているからこそ、救いがあり、毎回"これでよかったんだ"と納得できるような説得力がこのドラマにはあるんですね。だから、百合は刑事としてではなく人としてこの事件に巻き込まれた時にどう思うか、自分に置き換えて考えながら捜査にあたっていたんじゃないでしょうか。同時にすごく感情移入していたんだと思います。

――ドラマは1話完結ですが、縦軸として最終回まで通しで描かれる要素もあるそうですね

百合の過去と抱えているトラウマが描かれていて、最終回ではこの過去とトラウマが語られます。ここの撮影は、精神的にすごくしんどかったですね。俳優としても高い集中力が求められましたし、1つのシーンを2日に分けて撮ったので、モチベーションを保たなければいけないから、苦労したシーンでした。

百合は、トラウマをもっていることで"自分なんてこんなもんだ"と、どこかあきらめて生きているところが少しある。"自分の人生は自分ですくいとっていく"というちょっと悲しい自立心をもっているんです。これが最終回に向けて捜査一課のメンバーと関わっていくうちに、"自分はひとりじゃないかもしれない"、"仲間がいるかもしれない"ということに、気づいていく。ちょっとしたシーンだけども心の変化は感じ取っていただけると思います。

WOWOW開局25周年記念『連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~』はWOWOWプライムにて、10月22日(土)スタート(毎週土曜 22:00~全10話 第1話は無料放送)。

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