腸内フローラの働きとは?

健康番組などで「腸内フローラ」という言葉をよく耳にする。腸内環境を整えることによって免疫力がアップし、風邪予防やダイエット、美肌などさまざまな効果が期待できることから、注目を浴びているようだ。

そこで今回は、内科の大川原華織医師に、腸内フローラの働きや整え方などについてお聞きした。風邪やインフルエンザの流行シーズン前に、予防法の1つとして押さえておこう。

――「腸内フローラ」とは何のことですか?

動物の体内外にはたくさんの細菌がおり、その中でも腸内(口腔~大腸)に存在する細菌のことを腸内細菌と呼びます。腸内では細菌が日々、陣取り合戦をしながら生息しています。

これらの腸内細菌が寄り集まった状態が、さまざまな種類の植物が種類ごとに集団を作って群れている花畑などの生態系に似ていることから、「腸内フローラ(細菌叢 / さいきんそう)」と呼ばれているのです。

植物が地域や環境によって異なった育ち方をするように、腸内の細菌叢もまた、個々の年齢や生活環境によりさまざまな様相を呈します。出生してから腸管内に細菌は生息し始め、幼児期までには細菌叢のある程度の形が決まるとされています。腸内細菌の決定因子は遺伝因子+環境因子(主に食習慣)と考えられていますが、一度決まった細菌叢を大きく変化させるのは、とても難しいとも言われています。

――腸内フローラを健やかに保つことが風邪予防にもなると言われますが、その理由を教えてください。

腸内細菌がなぜ風邪などの感染症に関連するかというと、腸管は唯一、体内で体外とつながっている部位であり、24時間休まず食物や空気中から体内に侵入してきた病原体を感知し排除しています。そのため、腸管上皮バリアや粘膜免疫系などの腸管は、免疫システムがとても発達しており、体外からのウイルスを24時間休まずやっつけているのです。また、腸内フローラは腸管にびっしりと存在し、新たな細菌などが住めないようにしています。

しかし、一定期間の抗菌薬使用やストレスなどで腸内フローラが乱れると、免疫システムが破綻し感染症にかかりやすくなると言われています。食生活にも注意が必要で、高脂肪食や、一般に食品に使用されている食用乳化剤の摂取は、腸管バリア機能を低下させると考えられています。

つまり、毎日外食で脂肪が多い食事をしている方やストレスを抱えている方、休養が少ない方、薬に頼りすぎている方などは、免疫システムが低下していることから、風邪をひきやすいと言えますね。

――腸内フローラを健やかに保つポイントは?

食事などで腸内細菌を増やすことがポイントになります。具体的には、プレバイオティクスの摂取です。プレバイオティクスとは、「上部消化管で分解・吸収されない」「大腸に共生する有益な細菌の選択的栄養源となる。また、それらの増殖を促進する」「大腸の腸内細菌叢を健康的なバランスに改善し維持する」「人の健康増進維持に役立つ」といった条件を満たす食品のことを指します。

このプレバイオティクスとして、オリゴ糖(ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖、グルコン酸など)、食物繊維の一部(ポリデキストロース、イヌリンなど)が推奨されています。

現在では、肥満や糖尿病、インフルエンザ、神経疾患など、さまざまな疾患に関連する腸内細菌がいるとも言われています。プロバイオティクス(微生物のこと)を用いた治療法が日々研究されており、これから研究が進んでいくと、"風邪をやっつける腸内細菌! "なんていう薬も出てくるかもしれませんね。

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取材協力: 大川原華織(オオカワラ・カオリ)

内科医。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。