ブロケードは10月14日、都内でネットワーク自動化の技術戦略説明会を開催し、Brocade Communications Systems データセンター、スイッチ、およびオートメーション製品プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントのナビル・ブカーリ氏が説明を行った。

Brocade Communications Systems データセンタ、スイッチ、およびオートメーション製品プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントのナビル・ブカーリ氏

ブカーリ氏は、ネットワークの自動化の必要性について「デジタル変革には2つの重要なテーマがある。1つはハイパーコネクティビティで、接続が人、業務、デバイス間で膨大に増えているほか、高速なアクセスが展開されている。そして、もう1つがユーザー体験だ。ここ5~10年間で大規模に変化している」と述べた。

さらに同氏は「顧客は、オムニチャネルや状況に合わせた適切な情報を求めており、すべてのビジネスがデジタルビジネスへの変革を強いられている。デジタルビジネスで重要なのは俊敏性であり、それを実現する手段としてネットワークの自動化が必要だと考えている」と続けた。

ネットワークの自動化に向けた基本原則として、あらゆるレイヤーにおけるオープン性、DevOps指向、コンポーネントベース、イベント駆動型、クロスドメインなどを同氏は挙げている。これらの自動化に向けた基本原則をベースにブロケードでは、ネットワークのライフサイクル全体を自動化し、クロスドメインのワークフローと統合することでビジネスの俊敏性を向上するネットワーク自動化プラットフォームの「Brocade Workflow Composer」を展開している。

「Brocade Workflow Composer」の概要

ブカーリ氏は同製品について「われわれは3月にDevOps型自動化機能をネットワーク上で実現するイベントドリブン自動化ソフトウェアを手がけるStackStormを買収しており、Workflow Composerは同社の技術をベースとし、アプリケーション、スクリプトでもなく、自動化のプラットフォームだ。このプラットフォームにより、顧客はネットワークのライフサイクルを自動化や、クロスドメインの自動化を迅速かつ効率的にすることで、ビジネスの俊敏性を可能とした。また、この製品はワークフローをコンセプトとし、ここでのワークフローは人間の考えに基づいたものであり、自動化そのものをワークフロー中心にしたいと考えた」と説明した。

ワークフローを中心とした自動化

また同氏は「多くの構成設定は自動化されているため、ただ単にコンフィグレーションの自動化だけでは十分ではない。さらなる自動化にはプロビジョニングや検証、コンプライアンス、トラブルシューティング、修復といった、ほかのライフサイクルのフェーズが必要だ。またクロスドメインも重要で、時間を短縮することにより、アジリティの実現が図れるほか、既存で使用しているインテグレーションやシステム、プロセスを統合することを可能とし、ベンダーロックインを回避することができる」としている。

さまざまなインテグレーションに対応している

富士通が「Brocade Workflow Composer」を採用

同日には富士通が運用する「FUJITSU Managed Infrast ructure Service 仮想デスクトップサービス V-DaaS」(以下:V-DaaS)の機能拡充を図るため、Workflow Composerを採用したことをブロケードが発表した。

同製品を活用することで、V-DaaS上においてウィルスが検出された際に速やかに該当端末をネットワークから切り離すワークフローの自動化を実現。開発期間の大幅な短縮とコスト削減を図ることで、競争力の高いサービス価格設定で「ウィルス拡散防止サービス」の新オプション機能提供を開始している。

また、V-DaaSのテナント追加や検証、計画メンテナンス、閾(しきい)値監視、Error監視、トラブルシューティング、ネットワークトラブル対応、CPUなどのリソースモニタリングなどもWorkflow Composerで自動化し、今後は顧客リクエストの自動化を予定している。

V-DaaSは、サービス開始当初からウィルスの拡散を防止する施策についても顧客の要求ベースでサービスを提供してきたが、昨今のセキュリティ・リスクに対する懸念の高まりや顧客の要望を受け、オプションサービスとしてのメニュー化の検討を開始。2015年にV-DaaSで仮想デスクトップ上でウィルス検知時に仮想デスクトップをネットワークから自動隔離することを目的として、機能強化と実装方法を検討するプロジェクトを立ち上げた。

検討段階では、自社による独自開発や市場で提供されているソフトウェア製品など、さまざまな実装方法が評価された。結果として、ネットワークを軸にクロスドメインでのワークフロー自動化を容易かつスピーディに実装可能なWorkflow Composerが適していると判断し、2016年7月に採用が決定。その後、設計/構築作業に着手し、同9月の本番稼働に至っている。

なお、今後は実装したウィルス拡散防止サービスのワークフローの自動化を発展し、遮断したネットワークを自動復旧させたり、すでにV-DaaSに導入されている「Brocade VDX 6740スイッチ」のネットワーク設定の自動化、および自動的に復旧、さらにはモバイル端末サービスへの拡張にも着手していく計画だ。