スフィロは、同社が販売するスマートトイ「BB-8 by スフィロ」を、手首に装着することによりジェスチャーで操作できる「フォースバンド by スフィロ」の販売を開始した。本稿では発売日に都内で催されたプレス発表会の様子をお届けする。

「フォースバンド by スフィロ」

「フォースバンド by スフィロ(以下、フォースバンド)」は、映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に登場する球形のドロイド、BB-8をモチーフにしたスマートトイ「BB-8 by スフィロ」をジェスチャーにより操作できるというもの。名前の通りバンド状で、手首に装着して使用する。腕の動きや体の向きに応じてBB-8 by スフィロがコントロールできるようになっており、「スター・ウォーズ」でジェダイの騎士たちが使う「フォース」で、BB-8を操っているかのような体験が味わえる。

フォースバンド初期設定のためのムービー

フォース・トレーニング・モードの解説ムービー

フォース・アウェアネス・モードの解説ムービー

BB-8 by スフィロとの接続はBluetooth経由で、手を押し出すと前進、戻すと後退、差し出した方向により右左折するなど、フォースバンドを装着した腕の動きを検出して、コマンドを送信するという仕組みだ。ライトセーバーやブラスターを手にしたかのような感覚で遊べる「フォース・トレーニング・モード(フォースバンドからサウンドが鳴る)」や、iOS/Android向けアプリに用意された「フォース・アウェアネス・モード」では、身の回りにあるホロクロンを見つけ出しアプリ内に格納できる。マニアなら頬が緩む機能満載だ。フォースバンドは本体にバッテリーを内蔵しており、3時間の充電で約1時間使用できる。充電にはmicroUSBケーブルを利用する。

スフィロの共同創業者であり、最高技術責任者でもあるイアン・バーンステイン氏

発表会には、スフィロの共同創業者であり、最高技術責任者でもあるイアン・バーンステイン氏が登壇。スフィロの沿革、そして、今、何を目指しているのか説明があった。大きなビジョンとして、ロボットがどこの家にもある時代がやってくる、その時、自分たちはロボットを提供する企業でありたいとバーンステイン氏。そうしたとき、スフィロは、ロボットの分野、エンターテインメント、コンピューターエレクトロニクスの交差点となるような位置付けされると、自分たちの立ち位置について言及した。

スフィロは2010年に起業し、2011年に最初の製品となる「Sphero」というロボティックボールを発売、この頃はスマートフォンから制御できる玩具を製造するメーカーは少なかったという。2013年には後継モデルとなる「Sphero 2.0」を発売。その後、TechStarsという彼らを見出したインキュベーターとディズニーとのパートナーシップを通じて、ディズニーの重役と接触。CEOのボブ・アイガーに製品をプレゼンすると、iPhoneに入っていた「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のセットを見せてくれた、その一連の写真の中にBB-8もあったと、その時を振り返る。ここからBB-8/Spheroよろしく、話は転がりだし、成果は「BB-8 by スフィロ」として結実する。「BB-8 by スフィロ」に注力しつつ2015年夏に「SPRK」という教育向けの製品を投入。柱になるプロダクトがいくつも生まれ、会社の規模もどんどん大きくなっていく。今年は「SPRK+」を発売。SPRKシリーズは、全世界ですでに7,000以上の学校で導入されているとのことだ。

茨城県・古河市教育委員会の平井聡一郎氏

教育分野に力を入れていることをバーンステイン氏は強調するが、彼らも自分たちが教育の専門家でもなければ現場の人間でもないことはわかっている、というところで、茨城県・古河市教育委員会の平井聡一郎氏を呼び込む。平井氏は2020年より始まる文部科学省の新学習指導要領を詳説。現在、文科省はプログラミング教育の必修化を盛り込む方向で議論を進めているが、2018年には次期学習指導要領が先行実施されることに触れ、誰も指導にあたったことのないプログラミング実習にどう取り組んでいくかという問題について熱弁を奮った。

SPRK+は何より「かわいい」フォルムをしているので、子供たちにもウケがよかったとのこと

プログラミング学習を進めるのに、古河市ではSPRK+の導入を決めた。シンプルで壊れにくく、操作も簡単で、動作がはっきりわかる、かつ、担当教員も技術的知識が不要ということで採用が決まったそうだ。そして、SPRK+は何より「かわいい」フォルムをしているので、子供たちにもウケが良いということだった。

SPRK+を使いムービングイルミネーションを作る

ここで平井氏は茨城県古河市立大和田小学校の事例をムービーで披露。SPRK+を使いムービングイルミネーションを作り上げる過程が上映された。目的があるから子供たちは主体的になれたこと、対話的な学びがあったことなどを平井氏は報告。SPRK+導入のメリットを改めて強調した。

バーンステイン氏自ら、フォースバンドでBB-8を操ってみせた

平井氏のプレゼンテーションののち、今回発売のフォースバンドの紹介へ。2015年、バーンステイン氏は共同創業者であるアダム・ウィルソンらと「スフィロ・ラボ」という研究所を設立、そこでロボットを動かすためのウェアラブルデバイス「Wave」の開発に着手した。これが元となり、「BB-8 by スフィロ」用にフォースバンドとして発展していったと、製品化までの道程を明かしてくれた。その際、太極拳のような動きをしてるのが「フォースを操っているっぽい」というのに気付き、アイディアが膨らんでいったと述懐する。

フォースバンドのプロモーションムービー

一通りデモが終わると、フォースバンドとBB-8を操作できるハンズオンの時間が設けられた。筆者も早速、BB-8を操ってみようとフォースバンドを装着してみた。Bluetoothでペアリングするのに、青く光るBB-8の向きを自分が立つ位置に向けて調整するのだが、これが最初、いい加減に設定したせいか、BB-8はあさっての方向に転がっていってしまった。BB-8と正対しないと上手く動いてくれないので、手を抜かないようにしよう。実際に遊んでみると、とても楽しく、あっという間に時は過ぎ、「そろそろお時間なので」と退出を促される始末。操作に慣れれば、BB-8が自分の後をついてくるようにすることも可能となるらしいので、これはちょっとハマッてしまいそうだなと。

ドロイドをコントロールするための解説ムービー

「フォースバンド by スフィロ」の価格は税抜き9,800円。「BB-8 by スフィロ」をはじめBluetooth LEに対応したスフィロのロボットと連携して使用できる。また、コレクターボックスに「BB-8 by スフィロ」を同梱した「スペシャル・エディション」も用意。こちらは税抜き24,800円となっている。「スペシャル・エディション」に入っているBB-8は、昨年発売されたものと異なり、バトルを潜り抜け傷付いた加工が施されている。また、Apple Storeでは、「スペシャル・エディション」の特別なバージョンが販売され、こちらはコレクターボックスが黒い仕様となっている(外箱は白)。

BB-8の後ろにあるのは通常のコレクターボックスで、フォースバンドの後ろにあるのがApple Storeのみで販売される特別バージョンの黒いコレクターボックス