半導体ナノテクノロジー研究機関であるベルギーimec主催の「第13回半導体表面の超クリーン化プロセス国際会議(The 13th International Symposium on Ultra Clean Processing of Semiconductor Surfaces:UCPSS2016)」が、去る9月12日~14日、オランダ国境に近いベルギー クノック(Knokke)で開催され、ますます脆弱で複雑になる半導体デバイスの超微細構造や新材料の洗浄・乾燥に関して活発に議論が交わされた。

今回の国際会議は、街の中心にある公営カジノ「Grand Casino Knokke」(図1、2)内の多目的ホール(図3)にて開催された。

図1 UCPSS2016が開催されたGrand Casino Knokke正面。ベルギーの北海沿いに点在する保養地(海水浴場)には、どこにも町の中心にカジノの大きな建物がある

図2 国際会議の会場はカジノの裏側(海岸側)に入口がある多目的ホール。目の前には砂浜が広がる

図3 UCPSS2016会場風景。主催者が北海の海岸に面する会場の位置を説明している。ベルギーの有名な画家マグリットが1953年に描いた帯状のフレスコ画の力作が会場の壁を取り囲んでいる

世界中から約200名の洗浄研究者が結集

UCPSSは、米国電気化学会(Electrochemical Society:ECS)が隔年に米国で開催している半導体洗浄技術国際シンポジウム(International Symposium on Semiconductor Cleaning Science and Technology:SCST)と交互に欧州で隔年開催されているシンポジウムである。

第1回会議が1992年にベルギー ルーベンで開催されて以来、24年にわたり偶数年にベルギー国内各地で開催され、2016年で13回目を迎えた。今回の会議には世界中から212名の洗浄および関連技術の研究者や製造装置・材料メーカーの関係者が一堂に会し、活発な議論が行われた。会議は表1に示すような12セッションで構成され、オーラル講演44件(招待講演6件を含む)、ポスター発表25件(図4)の合計69件の発表が行われた。

第1日 第2日 第3日
(1)FEOL洗浄(SiGe、Ge) (4)濡れ性と乾燥 (8)3D構造洗浄
(2)FEOL洗浄(III-V族) (5)ナノパーティクル (9)太陽電池洗浄
(3)FEOLエッチング (6)フォトレジスト除去 (10)マスク洗浄
(7)BEOL配線洗浄 (11)汚染計測
(12)汚染制御
表1 UCPSS2016のセッション構成(このほか、初日冒頭に基調講演、および初日夜にポスターセッションが実施された)

図4 ポスターセッション会場風景。各発表者が掲示したポスターの前で参加者がベルギー地ビールを飲みながら熱心に議論していた