スポーツの世界でIT利用によるデータ分析が盛んに取り入れられるようになってきている。東京五輪に向け企業はどのように自社ビジネスを関連させていけるだろうか、五輪の先を見据えたチャンスを探している中、富士通は自社の強みを生かした支援をスタート。その先にはなにを見据えているのか。

富士通がバスケットをICTで支援

富士通は、日本バスケットボール協会(JBA)、プロリーグを開幕したばかりのジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(B.LEAGUE)とパートナー契約を締結し、バスケットをICTでサポートする。最近ではICTによってスポーツを支援することは決して珍しいことではない。だが、同社の狙いそれだけにとどまらない。

9月、富士通と日本バスケットボール協会、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグとのパートナー契約締結式

9月に行われた会見の席上、富士通の山本正已会長は、「安倍首相が掲げるGDP600兆円の実現に向け、スポーツ産業の市場規模を現在の5.5兆円から15兆円に増やすという目標が掲げられている。富士通もそれを実現するお手伝いをすることを想定したパートナー契約」と宣言。実は2020年の東京五輪のゴールドパートナーである富士通は、以前からスポーツ担当の役員を置いて、スポーツ支援に取り組んでいるのだ。

今回、JBA、B.LEAGUEと結ばれたパートナー契約で、富士通は次の3つを提供する。

1.デジタルマーケティングプラットフォームの提供

2.スポーツIoTの実現

3.スマートアリーナの実現

1のデジタルマーケティングプラットフォームとは、これまでチームごとに個別管理されていたプレイヤーの戦歴、キャリアなどの情報を一元管理し、強化選手や日本代表選手の選出のために活用することを目的として掲げている。

2のスポーツIoTは、選手の動き計測することで、選手の動きを可視化し、計測したデータを選手育成などに活用していくものだ。海外でも同様の育成方法が取り入れられているが、「リアルタイムの3Dセンシング技術は世界でも例をみない技術。バスケットボール以外の競技にも有効で、体操競技では採点でも活用できる世界でも注目されている技術」だと同社の山本会長は会見でアピールした。

3のスマートアリーナは、バスケットの試合を行う会場にWi-Fiを導入、多言語対応などの強化をはかり、会場でストリーミングなどのサービスを楽しむことができる環境作りを支援していく。

1、2はデータ収集・分析を目指したものであり、3はマーケティング活用を狙ったものだ。まさにスポーツとICTとの関わりによって生まれる王道といえる効果を目指した施策だといえる。同社にとってはこれまで培ってきたICTのノウハウをスポーツ分野に活かす機会となる。

ただ、同社の狙いはこの王道の効果の先にある。どんな効果を生み出すのか。