説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneを顕微鏡代わりにできますか?』という質問に答えます。

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顕微鏡は、物体に面し像をつくり出す役割の「対物レンズ」と、眼に接して焦点像を拡大する役割の「接眼レンズ」で構成されます。実際に眼にするときの倍率(総合倍率)は、たとえば対物レンズが20倍で接眼レンズが10倍とすると、実物の200倍にもなります。iPhoneのカメラにそのようなしくみはありませんから、フロントカメラにレンズを取り付けないかぎり、顕微鏡代わりに使うことは無理があります。

iPhoneのカメラ(iSightカメラ)は、単一の焦点距離でしか使用できない単焦点レンズを利用しているため、カメラ専用機のような拡大処理は期待できません。倍率はiPhone 6s/6s Plusの場合で5倍、しかも演算処理(デジタルズーム)での拡大となるため画像が粗くなります。数十倍にも拡大する必要はない、布地や紙片の表面を数倍に拡大できればいいというのであれば、標準装備の『カメラ』アプリを使えばいいでしょう。

もうひとつ、iOS 10の新機能「拡大鏡」を使うという手があります。初期設定では無効化されていますが、『設定』→「一般」→「アクセシビリティ」の順にタップし、視覚サポート欄にある「拡大鏡」からスイッチをオンにすれば、ホームボタンのトリプルクリックで起動できるようになります。『カメラ』アプリよりも大きく拡大できるため、iPhone単体で可能なかぎり拡大したい場合にはこちらがお勧めです。最大倍率にすると手ぶれが大きくなり鮮明な画像を撮りにくくなるため、iPhoneを固定した状態で利用するといいでしょう。

ただし、「拡大鏡」に写真撮影機能はありません。画面下部にある丸ボタンをタップすると、シャッター音が響いてそのときの画像が固定表示されますが(もう一度丸ボタンのタップで解除)、カメラロールに写真は保存されません。画像を保存したい場合には、スクリーンショット(スリープボタンとホームボタンを同時押し)で対応しましょう。

iOS 10の新機能「拡大鏡」を使えば、顕微鏡には遠くおよばないものの、カメラアプリ以上の倍率に拡大できます