大阪をはじめとした関西エリアでは、苦手な人も少なくない納豆。そんな「納豆不毛の地」とされる大阪に、納豆専門店「納豆BAR 小金庵」(大阪市西区土佐堀)がある。この地で納豆を作り、提供し続ける社長に、納豆にかける愛情とこだわりを聞いた。

"納豆不毛の地"大阪に、まさかの納豆専門店「納豆BAR 小金庵」が!

寿司BARがあるなら、納豆BARがあってもいい!

「納豆BAR 小金庵」は、大阪で納豆を作り続ける小金屋食品が運営

納豆専門店「納豆BAR 小金庵」を運営するのは、大阪で納豆を作り続けて半世紀以上の歴史を持つ小金屋食品。この店を仕掛けたのは、父の跡を継いで会社を引っ張る二代目社長・吉田恵美子さんだ。

「小金庵の納豆は、ネットショップや色んな百貨店の催事などで人気を博してきました。その際、多くのお客さまから、好きな時に試食したり買いに来られたりする場所がほしいという要望をいただいていたんです。そこから実店舗を出店する構想が始まりました」と吉田さんは語る。

「小金庵」のファンの要望が形になったのが「納豆BAR 小金庵」なのだ。しかしながら、BARと名付けたり、納豆専門店らしからぬコンセプトや内装にしたりすることを考えたのは吉田さん自身。そのインスピレーションは、3種類の納豆と8種類のトッピングを用意し、自由に組み合わせることで食べ飽きない工夫や選ぶ楽しさをプラスする「粋シリーズ」(各270円、トッピングのキムチのみ292円)をも生み出した。

3種類の納豆と8種類のトッピングの組み合わせを楽しめる「粋シリーズ」(各270円、キムチトッピングのみ292円)

「(おしゃれな店舗で寿司を提供する)『寿司BAR』って、おいしいシャリとネタがウリですよね。じゃあおいしい大豆とタレ、トッピングをウリにした『納豆BAR』もアリだよねって。さらに、BARでカクテルを選ぶように、自分好みの納豆を選んで探す楽しみがあれば面白いと思ったんです」。

店のロゴマークには「豆へんに旨い」とあるが、実はこれも吉田さんのシャレ。

「これは私たちが作った造語なんです。「魚へんに旨い」と書いて「すし」と読みます。じゃあ豆へんに旨いと書いて「なっとう」と読んでもらおうと(笑)」。

内装も明るくおしゃれな雰囲気

「豆へんに旨い」と書くロゴマーク。「なっとう」と読むオリジナルの漢字だ

素材・味・品質ではどこにも負けない大阪納豆

コンセプトや店舗の内装、ロゴマークのアイディアなど、随所にこだわりが感じられる「納豆BAR 小金庵」。もちろん商品へのこだわりも半端ではない。

まず、納豆の原料となる大豆。「粋シリーズ」は大粒、小粒、ひきわりの3種類から選べ、それぞれ産地が異なる。これは「大豆の大きさによって一番おいしい豆を選んでいるから」と吉田さん。

「市販品は輸入大豆を使い、タレに化学調味料が使われているケースがほとんど。小金庵の納豆に使う大豆はすべて国産白大豆で、100%自社工場で生産しています。また、白しょうゆを使ったタレも、化学調味料を一切使わないオリジナルレシピで、愛知県の老舗醤油メーカーに作ってもらっています」。

納豆の産地もこだわりぬいている

また、自社工場で納豆を作る製造スタッフは全員が女性だ。きめ細かに季節や気候状態を見ながら製造が行われているという。

「小さな食品工場ですから、オートメーションで常に全自動というわけにはいきません。その分、熟練したスタッフが季節や気温にあわせて大豆釜を調整し、最高の納豆が生まれる環境作りに細心の注意を払っています」。

試食を重ねて厳選した8種類のトッピング

こだわりは納豆だけにとどまらない。トッピングとしては、玉ねぎ・おぼろ昆布・鰯削りぶし・味噌・ねり梅・うずら玉子・青唐辛子味噌・キムチの8種類を用意している。3種類の豆タイプと組み合わせることで、24種類の納豆が楽しめるのだ。

「納豆をおいしく食べるためだけに、少量のトッピングを用意するのは意外に手間ですよね? でも、トッピングがあると納豆のおいしさが際立ちますし、食べ飽きることなく毎日食べられるようになります。そこで私たち納豆メーカーが、納豆の量に合わせたトッピングも一緒に提供することにしました」と吉田さんは言う。

「粋シリーズ」の納豆。左が「小粒×うずら卵」、右が「小粒×鰯削りぶし」

それぞれのトッピング素材にも、すべて厳選した国産素材が使われている。

「トッピングも、玉ねぎは泉州産、梅は和歌山産といった具合に、できる限り大阪産や関西産の素材を使用し、化学調味料も一切使用していませんので安心して食べていただけます。また、キムチにはお笑いコンビTKOの木下さんの"オカン"のキムチを使うなど、スタッフ全員で1つひとつ試食を重ねながらこだわり抜いています」。

また、トッピングの種類は今後も増やしていく予定だという。

「納豆のトッピングに合いそうだと聞けば、すぐに手に入れて試食しますし、いつどこで何を食べるにも『納豆に合うかな?』と考えながら食べてしまうんです。もはや職業病ですね(笑)。最後はスタッフ全員で試食を重ね、OKが出たトッピングだけが商品になります。これからもトッピングを増やしていきたいですね」。

"大阪納豆"というカテゴリーを創造したい

"大阪納豆"というカテゴリーを創造し、確立したいと語る吉田さん。めざすのは、日本中の納豆好き、あるいは納豆嫌いの人に"大阪納豆"を食べてもらい、本物の納豆が持つ旨みを味わってもらうこと、だそうだ。

「当社は、"納豆不毛の地"と言われる大阪で50年以上続いてきました。味にうるさい大阪の納豆好きの舌をうならせてきた味や品質には自信があります。加えて、今の時代を反映し、一食分の納豆とトッピングをカップにセットした"即食個食"をコンセプトにしています。変わらず守り続けてきたものを守ると同時に、時代に合わせて変化もしていきます」。

最後に、「粋シリーズ」の納豆をおいしく食べる方法を教えてもらった。

「まず納豆だけを混ぜてください。混ぜるのは30回程度で十分です。その後にトッピングやタレを入れてからは、軽く混ぜる程度でOK。しっかり混ぜるのは納豆だけ、というのがポイントです」。

「納豆BAR 小金庵」では、ほかにも「納豆ドレッシング」(648円)や「納豆バター」(600円)など、納豆を使った多彩な商品も販売されている。納豆好きも納豆嫌いも「納豆BAR 小金庵」に足を運び、本当においしい納豆を味わってほしい。

(左から)「納豆ドレッシング」(648円)や「納豆バター」(600円)なども販売

●information
納豆BAR 小金庵
大阪府大阪市西区土佐堀2丁目3-12-102
アクセス: 地下鉄四つ橋線「肥後橋」駅から徒歩8分
営業時間: 10時~19時
定休日: 木曜日(祝日の場合は翌日)

※価格は全て税込

筆者プロフィール: 中 直照(なか なおてる)

大阪出身のコピーライター。出版社や中堅ゼネコンなどを経てフリーライターとして独立。その後、2011年にショートカプチーノ設立。コピーライターとして経営者インタビューや企業広報誌、店舗取材など、幅広く執筆。ほかにもホームページ用コンテンツの企画や制作などにも携わっている。