――人に火をつけたのは初めてですか?

もちろんです(笑)!

――いや、全然躊躇してなかったので(笑)。

すごく怖かったです(笑)。秋口ぐらいの撮影で、ちょっと肌寒かったと思います。火をつける部分は、安全面を考慮して事前に何度も確認をしました。結構撮り直したと思います。せっかく火をつけても、風で消えてしまうこともありました。

――そんな凶暴な役ですが、なぜか犀原茜のファンは多い。実感することはありましたか?

前作からツイッターなどでたくさんのコメントをいただきました。もともと私のファンで「茜を演じているメアちゃんが一番好き」とおっしゃる方。これは褒められているのかディスられているのか分かりませんが、「あなたにはあまり興味ないですけど、茜は大好きです」みたいな声もいただきました(笑)。

――複雑ですね(笑)。ファンの方から寄せられた犀原イラストをブログで紹介されていましたね。

実はまだ載せられてないものもたくさんあるんです。本当にたくさんいただきました。特にリクエストしたわけではないんですが、自然と描いてくださるかたが増えて……役者として本当にうれしいです。

――抽象的な質問で恐縮ですが、高橋さんにとって「犀原茜」はどんな存在ですか?

どういう存在……うーん……正直、演じていていちばん楽しいですね。茜を作り上げていく中で監督が「犀原は涙の味がするご飯を食べた経験がある」とおっしゃっていて、自分の気持ちとつながりました。そういうご飯を食べたことある人はたくさんいると思うんですけど、そういう感覚的なことも思い出させてくれる。本当に感謝です。

――「演技がうまい」ってどういうことなんでしょうね。犀原茜を見ていて、いつも感じます。

あー。「うまい」って嫌ですよね(笑)。たぶん、いかにうまくやらないかが大切なんだと思います。そこでその役が生きているというのが大事なんじゃないでしょうか。「うまい」が人に伝わったら、それはあまり良くないことのような気がします。

監督とは声のボリュームどうしましょうとか細かいやりとりもありますが、「茜はここでアメを食べるだろうな」とか想像してやらせていただくことが多いです。「去り際に食べるだろうな」とふと思いついたことを、その直後に監督が言ってくださったり。内心では「えっ! わたし、思ってた!」って。口に出しては言わないですけど。

――それは言ってもいいんじゃないですか?

ホンマですか(笑)。でも、演出とか考えてしまって、生意気とか思われないかなって……。そういう考えが一致していたのはすごくうれしいです。

――ただ、もう2度と犀原茜を演じることはできません。今はどんな気持ちですか? 達成感、高揚感、喪失感。いろいろな感情があると思います。

撮影は終わったんですけど、何か終わった気がしない。たぶん、公開されてないのもあると思うんですけど(取材日は公開前)。みなさんの反応によってそのあたりの気持ちをも変わってきそうですが……何となく私の中で茜は生き続けています。

日記を再開した理由

――日記を書き始めたそうですね。「最近は忙しさのせいにして書けていなかった。大人になればなるほど時間が経つのが早く感じて」とブログに書かれていました(2015年12月30日付け)。

いま書いています。忙しくなると、なんだかこうファーッと過ぎていく感じで。かたまりの層があったとして、真ん中とか上でサーッと。ある日、仕事が終わって、友だちが大人数集まっている中でボーッとしていた時に、「この瞬間を、私はいつまで覚えているんだろう?」って思ったんです。何年後か、この瞬間を忘れているんじゃないかなって。そう思った時に怖くなって。今生きているのに、それが忘れてなかったことになる。すごく怖くなりました。

――そういうふとしたことって突然なんですね。

突然、来ました(笑)。忙しすぎると、それを考える余裕もなかったんだと思います。それで日記を書こうと。以前も書いていたのですが、忙しくなってやめてしまいました。十代のころは歌手を目指していたので、作詞も兼ねて書いていたんです。今はその日起こった出来事を書いています。大きな出来事をメインに、印象的だったこととか。

――書くことといえば、分刻みのスケジュールを組んでいたことがネット上でも話題になりました(2016年5月18日放送・フジテレビ系『モシモノふたり』で渡辺裕太と2泊3日の同居生活)。もっと大きな単位……月、年単位での計画は?

年単位でも決める時は決めます。3年後を見据えて、逆算して目標を立てることが多いです。1年単位でも考えたことあるんですけど、ペースが早すぎてなかなか実現することが難しくて(笑)。

――3年後の計画は秘密にしておいたほうがいいんですかね?

そうですね(笑)。かなったら言うタイプなので(笑)。

■プロフィール
高橋メアリージュン
1987年11月8日生まれ。滋賀県出身。2004年からファッション誌『CanCam』(小学館)の専属モデルとして活躍。2012年に同誌を卒業し、同年のNHK連続テレビ小説『純と愛』の狩野マリヤ役に抜てきされ、女優デビュー。『闇金ウシジマくん Part2』(14年)、『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』(14年)、『キカイダー REBOOT』(14年)、『リアル鬼ごっこ』(15年)、『ヒロイン失格』(15年)、『みんな! エスパーだよ!』(15年)、『復讐したい』(16年)、『シマウマ』(16年)、『ホーンテッド・キャンパス』(16年)などの映画に出演。

(C)2016真鍋昌平・小学館/「闇金ウシジマくん3」製作委員会・MBS

(C)2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会