走る広告塔としての機能も

もうひとつ、スポーツカーには走る広告塔としての役割もある。スポーツカーは、走りの性能を高めるべく、最先端のテクノロジーを搭載することが多い。デザインについても、ハッチバックやミニバンではなかなか実現できない、ブランドイメージをピュアに表現した形が実現できる。しかも少量生産なので、尖った技術や造形を取り入れやすい。

売れたほうが良いに決まっているけれど、たとえそれほど数が出なくても、ショールームに飾ってあったり、街や山を走っていたりするだけで、そのブランドの技術やデザインをアピールできる。複数のメーカーから、スポーツカーは儲からないという声を聞くけれど、それでも作って売るのはプロモーションとしての効果を期待しているからだ。

新興国市場の攻略にも欠かせないスポーツカー

その期待は、グローバル市場にも向けられている。日本車であっても、軽自動車枠に収まったS660やダイハツ・コペン以外は、多くが世界を見据えて開発されている。新型NSXは開発までグローバル体制で行われた。

ホンダは米国オハイオ州メアリズビル四輪車工場の隣接地に建設した専用工場で新型NSXを生産する

欧米は長い歴史を持つスポーツカーを文化として捉えている人が多い。その考えは新興国にも波及していて、スポーツカーに対して羨望のまなざしを送っている。スポーツカーを作っているか否かが、ブランドの評価を左右することもある。グローバルマーケットで戦っていく上で、スポーツカーは欠かせない商品なのだ。