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今や多くの女性が楽しんでいるヨガやフラ。とくにヨガは、股関節を柔らかくしてくれるだけでなく、呼吸法も妊婦に向いているという説もあります。ヨガやフラは、妊娠中に楽しんでも問題はないのでしょうか。今回は、En女医会の産婦人科専門医・間瀬有里先生にお聞きしました。

体調がよければ大丈夫

ーーこうしたエクササイズは、妊娠した後も続けて大丈夫なのでしょうか

基本、インストラクターの管理のもとで行うのであれば問題はありません。マタニティヨガやマタニティフラのほか、エアロビクスのマタニティ版、マタニティビクスなどもありますしね。

ーー避けた方が良い時期はありますか?

そうですね。妊娠前から習慣になっている方で、妊娠がわかった後も体調に変化がなく体力がある場合なら良いでしょう。その場合も、もちろんインストラクターの指導のもと行なってくださいね。それならば、妊娠のどの時期でもできるでしょう。

しかし、あくまでも体調がいいときに限ります。妊娠16週から安定期に入るまでの間は、胎盤が形成されるころです。胎盤ができあがって初めて赤ちゃんとお母さんがしっかりとつながるので、とくにその時期は慎重に様子を見た方がいいでしょう。

ーー安定期というのは、物理的に安定する時期なのですね。

そうです。胎盤で赤ちゃんとお母さんがしっかりとつながる前は、子宮のベッドの上にそっと乗っているだけの不安定な状態なのです。ちょっとした刺激でも危険なので、注意しましょう。

診断書を提出して行いましょう

ーーヨガやフラ、マタニティビクスの教室では、診断書を求められることがあると聞きますが……

はい、ありますね。妊娠がわかった後も続けたい場合に求められることがあります。マタニティ用のクラスを担当するインストラクターは、もちろんこの分野のエキスパートです。しかし、それでも生徒の見た目だけでは判断できない症状に関しては、医師の診断書が必要になってくるわけです。

急に貧血を起こしたり、めまいがあったりする場合には、すぐに中断して対処してもらわないといけません。きちんと診断書を提出する必要があります。

ーーこうした教室はどのように選んだらよいでしょうか

家に近い場所にある、病院の近くといった条件を入れると安心ですね。マタニティビクスやマタニティストレッチは産婦人科で行っていることもあるので、調べてみましょう。

ホットヨガも大丈夫?

ーー流行りのホットヨガはどうでしょうか。妊娠中行なっても大丈夫ですか?

これはおすすめできません。妊娠中は、さまざまな原因で脱水症状になりやすいんです。なので、脱水になる危険が高いホットヨガは、妊娠中には行なわない方が良いでしょう。

たとえ普段ホットヨガを趣味にしていても、妊娠すると、自覚がないままに体調が変化していることがあるので、気楽に続けるのは問題です。

ーー妊娠中お酒を飲んではいけないのと同じ理由ですか

そうです。お酒は、アルコールそのものが胎児に影響を与えるだけでなく、アルコールを分解するときに体から水分を奪ってしまうのです。お酒を飲んだ翌日に喉が渇くのはそのせいですね。妊婦はただでさえ脱水になりがちですから、注意が必要です。

ーーありがとうございました!

■プロフィール
間瀬有里
2003年 日本医科大学卒業。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加するEn女医会に所属している(En女医会とは、会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用し、医療分野での啓発活動を積極的に行っている団体)。
産婦人科専門医、指導医。医学博士。大学病院助教を経て、現在、東京ミッドタウンクリニック勤務。長年の大学病院勤務経験を生かし、現在は健診業務から一般外来診療まで幅広く対応している。二児の母としても、日々奮闘中。