そんなことはありません。実はSIMカードの切り替え時間が、MR04LNでは実測約1分10秒かかっていましたが、MR05LNでは約10秒(実測では約7秒)へ大幅に短縮されているのです。しかもMR05LNは、SIMカードの切り替え時に端末の再起動が不要になりました。

MR05LNの公式サイトにはSIMカードの切り替え時間について「約10秒」と記載されていますが、貸し出し機では実測約7秒で切り替えが終了しました

MR04LNはSIMカードを切り替えて再起動した際に、ノートPCやタブレットが公衆無線LANなどに接続してしまうことがありました。しかし、MR05LNは無線LAN接続を維持したままSIMカードを切り替えるので、意図しない公衆無線LANに接続して、再度ノートPCやタブレットから接続先を変更する手間がかかりません。複数のSIMカードをひんぱんに切り替えて使う方には大きなメリットと言えるでしょう。

また、MR05LNは自動SIM切り替え機能が新搭載されており、クレードル使用時未使用時、データ通信量が一定量に達したとき、設定した時刻や曜日にSIMカードを切り替えられます。たとえば自宅ではSIMカードAのほうが速くて、都内ではSIMカードBのほうが高速なのなら、通勤通学時間に合わせて利用するSIMカードを設定しておけば、切り替えを意識することなく最適なSIMカードを利用できるわけです。

「自動SIM切替」の詳細設定はMR05LN自身では行えません。スマートフォン、タブレット、PCのブラウザーから「クイック設定Web」(http://aterm.me/)にアクセスして設定します

このほかにもMR05LNには、連続通信時間が約12時間から約14時間に延長されたり、付属のUSB充電器による充電時間が約3.5時間から約3時間に短縮されたり、APN設定プロファイルが用意されるなど、細かく改良が加えられています。

左がMR04LN、右がMR05LN。既存のMVNO SIMカードのAPNが19種類用意されています。このAPNリストは随時更新される予定で、新たなAPNが追加された場合にはその旨が画面に通知されます

一方で、接続台数が16台から10台に減ったこと、本体サイズが大きくなったこと、LTEのバンド17が削除されるなど、カタログスペックとしては低下している項目もあります。しかし、どれも実質的な使い勝手には影響を与えないはずです。LTEのバンド17はそもそも日本では使われていないので、削除というより整理と言うべきでしょう。

SIMカードスロットのサイズ変更だけが残念!

唯一筆者が不満を感じたのはSIMカードスロットのサイズ変更。国内の最新スマートフォンのほぼすべてがnanoSIMカード対応になっているとは言え、海外旅行用のSIMカードを含めると、まだmicroSIMカードをいくつか持っているというユーザーは決して少なくないはずです。nanoSIMカードはアダプターを使えばmicroSIMカードスロットに装着できるのですから、大は小を兼ねるということでmicroSIMカードスロットを継続してほしかったところです(ただしMR04LNで、SIM変換アダプターなどを利用した場合の動作は保証されていません)。

しかし、SIMカード切り替えの所要時間を飛躍的に短縮したMR05LNは、複数のSIMカードを切り替えて使うユーザーには非常に魅力的なモバイルルータです。筆者はMR04LNのレビュー記事をマイナビニュースに書いたあとに自腹で購入していますが、MR05LNも買い増しせずにはいられません。

筆者の手持ちのmicroSIMカードは3枚。返却不要のSIMカードはSIMカッターでサイズ変更し、要返却のSIMカードはサイズ変更手続きすることにします