レノボ傘下のモトローラ・モビリティ・ジャパン(以下モトローラ)は、SIMフリースマートフォンの新製品「Moto Z」「Moto Z Play」および専用モジュール群「Moto Mods」を日本国内で展開すると発表した。Moto Modsと組み合わせることでスマートフォンに様々な機能を追加できる、ユニークなコンセプトの端末だ。いずれも9月27日より先行受注受付を開始し、10月下旬より順次出荷予定。

「Moto Z」と「Moto Z Play」

極薄高級モデルの「Z」とミドルレンジの「Z Play」

モトローラはもともと米国の電子・通信関係機器のメーカーだ。通信機器部門が分社化してモトローラ・モビリティとして設立。同社は分社化後すぐにGoogleに買収され、特許のほとんどをGoogleが保持したままの形で中国のレノボに売却されたという経緯がある。日本市場へのスマートフォンは7月にミドルレンジのSIMフリー端末「Moto G4 Plus」の販売で参入したばかりだった。つまり、満を持してのハイエンドモデル投入となるわけだ。

今回発表されたのは、極薄で高級機の位置付けになる「Moto Z」と、ミドルレンジの「Moto Z Play」の2機種。Moto ZはSoCにSnapragon 820を採用したハイエンドモデルで、メモリ4GB、ストレージ64GB。ディスプレイには5.5インチのQHD(2,560×1,440ピクセル)スーパーAMOLEDパネルを採用している。

最薄部で約5.2mmという薄さが最大の特徴。この薄さを実現するためにも、デュアルSIMの片側がmicroSDカードと排他的利用になっており、イヤホンジャックもなくなっている。これだけ薄いながらもIPX2相当の防滴能力を持っており、少し飲み物などをこぼしてしまったりしても、問題ないという。カメラはメインが13メガピクセル・F値1.8の明るいレンズを搭載しており、光学手ぶれ補正とレーザーオートフォーカス搭載。動画撮影では4K(30fps)にも対応する。イン側は5メガピクセル。価格は税別(以下同)85,800円と、SIMフリー端末としてはかなり強気な価格設定だ。

高級モデルの「Moto Z」。かなり薄いが堅牢感は相当なもので、手で曲げようとしてもビクともしなかった。全体的な質感はとても高い

薄さを実現するためにイヤホンジャックが取り払われたのはiPhone 7 / 7 Plusと同じ。本体にはUSB Type-Cとイヤホンジャックの変換ケーブルが付属する

Moto Z PlayはSoCにSnapdragon 625を搭載したミドルレンジのモデルではあるが、カメラはレーザーオートフォーカスと像面位相差オートフォーカス(PDAF)を併用する16メガピクセルと、Moto Zを上回る画素数(なお、インカメラは同じ5メガピクセル)。ただしレンズの明るさはF値2.0で、光学手ぶれ補正は搭載せず、4kビデオの撮影にも対応していない。画素数とAF以外はMoto Zから微妙にスペックダウンしている。

メモリは3GB、ストレージは32GBで、ディスプレイは5.5インチのフルHD(1,920×1,080ピクセル)のAMOLEDパネルを採用している(発表会のスライドではスーパーAMOLEDの表記)。また、バッテリー容量は3,510mAhと大容量で、実用上で約50時間バッテリーのみで駆動するという(Moto Zは2,600mAhで約24時間稼働)。価格は53,800円で、こちらも同クラスのSIMフリースマートフォンと比べるとやや高い。

Moto Zと比べると厚みもあり、全体に重いMoto Z Play。代わりにバッテリー容量が1.35倍あり、日常的な利用なら2日近く充電せずに使い続けられるタフさがウリ

こちらはイヤホンジャックも付いている。MicroSIMカードスロットもSIMスロットと個別になっており使い勝手はいい

両モデルに共通するのは、ディスプレイの物理的サイズ(5.5インチ)と指紋認証等のセンサー類、デュアルSIM対応(nanoSIMを2枚まで搭載可能)、最大2TBまでのmicroSDXCカードサポート、充電兼用の拡張インタフェースにUSB Type-Cを採用している点。充電は同社独自の「Turbo Power」に対応しており、15分の充電で最大8時間ぶんの動作が可能になる。また、サポートするLTEの帯域はNTTドコモの管轄になる(ただし1.5GHz帯は利用できない)。

SIMフリー端末というと「格安スマホ」という呼び名が定着しているように、安さを前面に押し出したモデルが多いが、Moto Z / Z Playはこれらに反したプレミアムモデルになる。本体の質感や性能はいうことなしで大変魅力的なのだが、市場側がプレミアムモデルを受け入れる余地があるかは未知数だ。

ただし、Moto Zにはもう一つ、他にはないオンリーワンの魅力がある。それが後述する「Moto Mods」の存在だ。