札幌市内中心部で人気の観光スポットといえば、「赤れんが」の愛称で知られる「北海道庁旧本庁舎」に「札幌市時計台」、大通公園の「さっぽろテレビ塔」が有名だ。建物の前で自撮りを楽しむだけの人も多いが、実は館内の施設や展示もおもしろい。見学せずに帰るのはもったいないこれらの名所を案内しよう。

お菓子で作られた赤れんが庁舎。主な材料は、北海道産ビートが原料の砂糖

歴史をしのばせるレトロな建築

1件目に紹介する「北海道庁旧本庁舎」は、「赤れんが庁舎」としておなじみ。札幌駅から徒歩5分とアクセスが良く、しかも入館無料。明治時代のレンガ造りの建物は、昭和の時代に創建当時の姿に復元され、国の重要文化財にも指定されている。

まず注目したいのが、建物自体の凝った造りだ。正面玄関から入ると、エントランスホールの階段の柱や三連アーチが真っ先に目に入る。その繊細な彫刻はまさに匠の技。入口横の渋い木製電話ボックスも、いい味を出している。館内の窓や天井のシャンデリアまわりなども、古き良き時代の粋を感じさせるデザインだ。

階段の踊り場から見下ろしたエントランスホール。三連アーチの装飾が華やか

驚くほどバラエティに富んだ展示品

館内には、札幌市内にある「北海道博物館」のサテライト施設や、「北海道立文書館」をはじめ、歴史や自然、文化に関わる展示室が並ぶ。「北海道」の名付け親でもある探検家・松浦武四郎が江戸時代に完成させた北海道地図あり、巨大なアンモナイトの化石あり、大量のニシンを煮て肥料を作った鉄釜あり、エゾシカの剥製あり……とバラエティに富んだ展示で、次に何が現れるのか予想がつかずワクワクする。

開拓時代の札幌のジオラマや、開拓使札幌本庁舎などの精巧な模型もあり、2階の「国際交流・道産品展示室」には、なんと砂糖菓子で作られた赤れんが庁舎が! 2016年に開催された「北海道お菓子フェア2016」で展示するために市内の洋菓子店が制作し、イベント終了後に寄贈したものだ。約4カ月かけて細部まで丁寧に作り込んだ力作、ぜひ本物を見てほしい。

1階「北海道立文書館」には、草創期の札幌のジオラマも

開拓の歴史を描いた大作絵画は迫力満点

廊下や階段に飾られた、迫力のある絵画も必見だ。「少年よ大志を抱け」でおなじみのクラーク博士が帰国前に学生たちに別れを告げる場面など、開拓時代を題材にした大作がおよそ20点そろっている。

これらの作品はすべて、北海道百年事業の一環として、北海道出身の画家に制作を依頼したもの。作品の時代背景や登場人物についての解説もわかりやすく、北海道の歴史を身近に感じられる。

2階の観光案内コーナーにはボランティアガイドが常駐し、館内の案内や周辺のウォーキングガイドツアーを行っている。ガイドの腕章をしている人がいたら、声をかけてみよう。

●information
北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)
住所: 北海道札幌市中央区北三条西6丁目
開館時間: 8:45~18:00、前庭の解放は7:00~21:00
休館日: 年末年始(12月29日~1月3日)
入館料: 無料