結婚生活を経ていく中で、忘れがちになってしまうのが相手への思いやりの言葉。結婚前、まだ恋人同士だった頃は、大事な場面で"刺さる"フレーズを相手に言うことができたような気がしたけれども、最近はすっかりそういう言葉も出てこない……と、頭を抱えてしまう人もいるのでは。

気持ちをシンプルに伝えることが、刺さるフレーズになり得る!?

でも、だからといって特別な言葉が必要というわけではありません。あなたの気持ちをシンプルに伝えることが、夫婦にとって刺さるフレーズになりえるはず。例えばこんな言葉が、険悪なムードの特効薬や夫婦仲を盛り上げる一言になるかもしれないんです。

まずは相手の意見に同調する――「君の意見も一理ある」

妻: 「たかし(息子)も幼稚園の年長になって、もう来年はあっという間に小学生ね。たかしに小学校受験をさせたいと思うんだけど、あなたはどう思う? 」
夫: 「たかしは勉強したいのかな? まだ遊びたいんじゃないのかな……」
妻: 「私はたかしと一緒にいる時間が長いけど、最近は文字や数字を覚えなど、勉強に興味があるみたい。だからこそ、勉強に向き合える学校を選んで、その興味を伸ばしてあげたいの……」
夫: 「そうか。君の意見も一理あるね。俺は今まであまり気づかなかったけど、たかしが成長できる環境を選ぶことは賛成だよ」
妻: 「分かってもらえて良かった! これから進路を一緒に考えたいね♪」

人生をともに歩む夫婦にとって、ぶつかりあうことは日常茶飯事。しかし、だからといっていつも言い争っていては、ストレスが積み重なるばかりです。そんな時は、「君の意見も一理ある」といった言葉をかけ、相手の意見を受け入れる姿勢を見せましょう。理解の気持ちを伝えることで、会話の中のトゲが減れば、いちいちぶつかってしまう……なんてことも軽減できるかもしれません。

相手への理解の気持ちを伝え、会話の中のトゲを減らす

感謝や反省の気持ちこそストレートに伝える――「ごめん」「ありがとう」

夫: 「今日は友だちと出掛けるんだっけ? 近頃休みの日は、たかしの面倒は俺が見てばかりだな……」
妻: 「私だって普段、子育てや家事で時間がないんだから、ちょっとぐらい大目に見てよ! 家のこともちゃんとやってるわよ……」
夫: 「でも、最近は帰りが遅くない? 俺が代わりに夕食を作ることもあるけど、たかしだって本当はママのできたてのご飯を食べたいと思ってるよ」
妻: 「そうね……ごめんなさい。今日は他のママ友に合わせないで、早めに帰るね。私がいない時にいつもご飯を作ってくれてありがとう」
夫: 「まぁ、普段は遊ぶ時間ないもんな。俺は料理するのは好きだから、もし帰りが遅くなりそうだったら言ってくれよ! 」

夫婦の付き合いが長くなり、いわゆる「ツーカー」の関係が深まると、「言わなくても察してくれるだろう」といった態度になりがちです。そんな時、「ごめん」「ありがとう」といったストレートな感情表現は、相手への思いやりをあらためて伝えるだけでなく、きっとあなたの真摯(しんし)な気持ちを後押ししてくれるはず。嫌みっぽくならないよう、思いやりは素直に伝えることが大事です。

ストレートな感情表現が、真摯な気持ちを後押ししてくれるはず

共感や好意を伝えて、相手を肯定する――「あなたのそういうところが好き」

夫: 「今日、社内プレゼンがあったんだけどさ、俺が考えた企画、今回もボツになっちゃって……」
妻: 「あら、そうなのね。今週はいつも遅い時間までがんばってたよね」
夫: 「そうなんだよ。俺の企画の方が絶対に良かったと思うんだけど……。悔しいから、次回のプレゼンに向けて今から企画を練り直すよ! 」
妻: 「そっか、お疲れさま。あなたのそういう負けず嫌いなところ好きよ。粘り強く取り組んでいれば、次はきっと評価してくれると思う! 」
夫: 「そう言ってもらえるとうれしいな。よーし、家族のためにもがんばるぞ! 」

仕事や家事、育児などがうまくいかない日は、「誰も分かってくれない……」と、孤立して考えてしまいがちです。そんな時は、相手をひとりの人間としてさりげなく肯定する、「あなたのそういうところが好き」といった言葉をかけてみてはいかがでしょうか。相手への好意とアイデンティティーへの共感を示すことによって、安心を生み出すだけでなく、夫婦仲に前向きなムードをつくることができそうです。

相手への好意と、アイデンティティーへの共感を示そう

その人そのものに焦点を当てる――「子どものためじゃない、君のためを考えてのことなんだ」

妻: 「私、また働き始めようかなって考えてるんだけど……どうかな? 」
夫: 「俺は、まだ働かなくてもいいんじゃないかなって思う。たかしだって、まだまだ手がかかるんだし」
妻: 「そう……。あなたはいつもそうやって、『子どものため』のように言うけれど……私はあなたの意見を聞かせてほしい」
夫: 「いや、たかしのためじゃない、君のためを考えて言ったんだよ。たかしが小学校に入ったら、保護者会やママ友の付き合いも増えるだろ? 前に『たかしや学校の力になりたい』と言っていたから、その方がいいと思ったんだ」
妻: 「あの時に言ったことを覚えてくれてたのね……。うん、たかしがいる場所の役に立ちたい。私がどうしたいのか、もう一度よく考えてみるわ」

夫婦で話し合う時に使う機会が多い、「家族のため~」といった言葉。しかし、大事な家族を思っての発言だとしても、目の前の相手への焦点がぼやけてしまっては、あなたの気持ちはうまく伝わりません。そんな時は、相手その人そのものに焦点を当て、「君のためを考えてのことなんだ」といった言葉を織り交ぜてみましょう。思いやりを見せ、夫婦の目線を合わせていくことで、あなたの考えはより伝わりやすくなるはずです。

その人そのものに焦点を当てた言葉を織り交ぜる

「いつまでも、この時間を大切にしたいね」

夫: 「最近ずっと忙しかったから、こうして家で2人で過ごすのもひさしぶりだな」
妻: 「そうね。たかしも友だちの家でお泊まりを楽しんでるみたい。2人でどこかに出掛けるのもいいけど、今日みたいにお家でまったりするのも好きだわ」
夫: 「うん。今日は俺も一緒に夕食を作るよ! もっと料理の腕を上達したいからさ」
妻: 「ありがとう! 一緒に料理を作るのは、私も付き合いたての頃からの楽しみだよ♪ いつまでも、この時間を大切にしたいね」
夫: 「そうだな。年をとっても、一緒に料理を作って楽しめる夫婦でいような」

それぞれが忙しく、すれ違いがちな夫婦にとって、お互いにとって「いい時間」を大切にしたいものです。そんな時は、2人の趣味やリラックスタイムなどに夫婦のいい時間が末永く続くことを願って、「いつまでも、この時間を大切にしたいね」といった言葉をさりげなくかけてみましょう。きっと夫婦の絆を再確認できるはずです。

さりげない言葉をかけて、お互いにとって「いい時間」を大切にする


今回ご紹介したフレーズはどれもシンプルな言葉ですが、結婚生活が経ていく中で、つい忘れがちな言葉でもあります。相手への思いやりの心を忘れずに、2人の仲を深める言葉を夫婦で見つけてみてはいかがでしょうか。

※写真はイメージで本文とは関係ありません