東京地下鉄(東京メトロ)と東武鉄道、佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸の5社はこのほど、東京メトロの新木場車両基地において8月末に発表した物流実証実験を報道陣に公開した。

敷地面積13万4000平米に留置両数110両の新木場車両基地

実証実験は物流に関する交通渋滞、CO2排出量の削減、トラックドライバー不足などの社会的課題の解決策として想定されている旅客鉄道の輸送力を活用した貨物輸送に関するものとなり、10月中旬まで東京メトロ有楽町線~東武東上線間で既存の鉄道施設を活用し、共同で実施している。

実験パターンとして「拠点間輸送」(5社で実施し、日本郵便は新木場車両基地-和光車両基地のみ)と「拠点~駅間輸送」(東京メトロ・ヤマト運輸・佐川急便で実施)の2パターンを実施。両実験ともに利用客が利用できない実験専用ダイヤを設定し、計10回行う。使用する鉄道施設(路線・駅)は東京メトロの新木場車両基地、和光車両基地、有楽町線の新富町駅・銀座一丁目駅・有楽町駅、東武鉄道の森林公園検修区となる。

実証実験で使用する東京メトロ10000系

今回、模擬荷物を使用した拠点間輸送における荷物積載~出発までの流れを公開した。なお、模擬荷物は物流各社が利用客から預かった荷物ではなく、実際の荷物の重量を模した段ボールなどを台車に積載したものとなる。

模擬荷物の到着

車両基地に到着した模擬荷物搭載のトラック

架台の設営

フォークリフトで架台を運搬

架台を設営

架台に取り付ける階段

設営完了

車両内の養生

床面に養生のためゴムのラバーを設置

荷物の積み込みとラッシング作業

フォークリフトで模擬荷物を架台に乗せる

模擬荷物を車両に積み込み

ラッシング作業

模擬荷物の設置が完了し、出発を待つ

拠点間輸送は、物流各社の拠点からトラックで模擬荷物を新木場車両基地に搬入し、東京メトロ10000系車両の1両に荷物を積載。有楽町線・東上線にて実験専用ダイヤで列車運行を経て、和光車両基地または森林公園検修区に到着した列車から荷物を下ろし、トラックで物流拠点に搬出する。

また、拠点~駅間輸送では物流各社の拠点からトラックで模擬荷物を新木場車両基地に搬入し、東京メトロ10000系車両の1両に荷物を積載。有楽町線にて実験専用ダイヤで列車運行を経て、新富町駅、銀座一丁目駅、有楽町駅の各駅で到着した列車から荷物(台車1台程度)を下ろし、駅構内を経由して地上まで搬送する。

今後、実証実験は9月30日、10月1日・7日・8日・14日・15日を予定(9月9日・10日・16日・17日も含む)している。検証内容は、各作業工程における所要時間・人員数、安全性確保のための人員配置、作業効率性や安全性に資する機器、施設・設備等の必要性と規模、旅客輸送への影響などを把握する。

東京メトロ 経営企画本部 企業価値創造部 新規事業担当 課長の小泉博氏は「公共交通機関として交通渋滞やCO2の削減、ドライバーの不足など物流に関する社会的な課題に対し、具体的な解決策の提供と今後の新たな事業領域の展開などを検討した結果、今回の取り組みにつながった」と述べた。

実験後は、取得したデータや旅客輸送に与える影響、物流各社のニーズなどを勘案し、トラックの輸送から旅客鉄道を活用した貨物輸送への転換(モーダルシフト)の実現可能性を検証する。