触覚を刺激する研究展示が多かったTGS2016

東京ゲームショウ2016(TGS2016)の主役の一つがVRであった。ゲームコンソールがVR対応になったり、従来のゲームタイトルがVRになったりと様々なデモや体験ブースが用意されていたが、ある意味やっと商売になりそうというレベルの話だろう。たとえばPCゲームではGeForce GTX 10シリーズやAMD Radeon RX 400シリーズという「VR表示もこなせる性能のGPU」が登場して何とかなったというのが実感だ。

では音響体験、視覚体験の次は? というと、これはどうも触覚になりそうだ。ゲームの場合、味覚はおおむね関係なく、嗅覚(1ブース展示があった)も設計が難しそうだ(以前、テーマパークで香り付モーションライドを体験したことがあるが、これはストーリーがキッチリ決まっているからできるのであって、自由度の高いゲームとなるとかなり設計が難しいだろう)。

Hall3の東京ゲームショウ&日本ゲーム大賞20周年記念ブースの一角では「エンターテイメントの未来」と題した技術デモが行われていたが、ここの一角はほぼ触覚をテーマとした展示を行っていた(8つの展示のうち、5つが触覚を扱っていた)。

電気通信大学 梶本研究室「触覚提示技術のエンタテイメント応用」

電気通信大学 梶本研究室の「触覚提示技術のエンタテイメント応用」。キーボードにプロジェクションマッピングを行いつつ、キーボードの押し込みと位置によって異なる触感を与えるHapTONEのデモ

先の左側は木琴風感触だったが、右を押すと鉄琴風の感触に。ただ、音と映像に騙されている気もする

先の二つは押し切らないと反応がなかったが、スイッチを切り替えるてギター風にすると中間で反応する

東京大学大学院 篠田・牧野研究室「視触覚クローン」

東京大学大学院 篠田・牧野研究室の「視触覚クローン」。画像ではわかりにくいが奥にあるキネクトで位置を判定し、その様子を隣に伝える

超音波リデューサーが1000個ほど取り付けてあり、これによって触覚を相手に伝えるという仕組み。視覚の方は光学的に行っていた

左の箱にあるタンバリンを、右の箱に手を入れる事で動かすことができる

慶應義塾大学大学院「TECHTILE:触感デザインプロジェクト」

慶應義塾大学大学院「TECHTILE:触感デザインプロジェクト」慶應らしくデモがうまい。片方のコップにモノを入れて揺らすとその感触が遠隔のコップにも伝わる。小石とビー玉の違いも分かる

デモの数々。手前の電車の模型を動かすと電車風振動が手に伝わる

右の割り箸を持って動かすとハムスターが齧る

フィードバックは必ずしもリアルでなくても構わない。足踏みをするとゾウになったり、ライオンになったり………蛇の足音?

北海道大学「弾性体のリアルタイム接触シミュレーションと触覚提示手法」

こちらはCEDECの出張版。北海道大学の「弾性体のリアルタイム接触シミュレーションと触覚提示手法」の実演編。本来はVR脳外科手術シミュレーターの一部らしい

手前のペン型デバイスを動かすことで、(この画像では見えないが)画面上の緑のボールを動かしてピンク色の対象物に触ることができる

弾性体と書いてある通り、ゴムでできたウサギに触れているような気分だった

大学研究らしくパラメーターは豊富。硬さは下から二番目のヤング率を変える事で実現していた