9月15~18日の期間、千葉・幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2016」。今回は18日にプレイステーションブースで開催された「コジマプロダクション」ユーザーズセッションをレポートする。

「TGS2016」全体を通しても最大と思われる大観衆が集まった

コジマプロダクションは、「メタルギアソリッド」シリーズなどで知られる小島秀夫監督が、2015年にコナミから独立して設立した開発スタジオ。そのコジマプロダクションが最初に手がける処女タイトルが『Death Stranding』だ。今回のセッションには小島秀夫監督と、小島監督の盟友であるアートディレクターの新川洋司氏が登壇。独立して新たな道を歩む小島監督の肉声を聞こうと、ステージ前には多くの観衆が詰めかけた。

左から小島秀夫監督、アートディレクターの新川洋司氏

大きな拍手で迎えられた小島監督は「ただいまー! 2年ぶりのTGSなんですが、皆さんと日本で同じ空気を共有できたことに非常に感激しています、やっと皆さんに会えました」と満面の笑顔であいさつ。ユーザーからの質問に応える形でトークを繰り広げた。

まずは今年のE3で『Death Stranding』を初発表した時のことを振り返った小島監督は、「歓声がすごすぎてなにも話せないぐらいでしたが、うれしかったですよ。色々あって全てを失ったかと思っていましたが、なにも失ってなどいなかったと感じました」と感慨深くコメント。コジマプロダクションを新たに立ち上げたことについては、「経営がしたかったわけではなく、世界中の皆さんが遊びたいゲームを作るためだけに作りました。トリプルエーのハイエンドで、お話があってテーマもゲーム性もあってボリュームもクオリティも高い。そういう皆さんが求めてくれるゲームを作るために立ち上げました。やることは30年間やってきたことと同じです」と語っていた。また、ステージでは新生コジマプロダクションが立ち上げられたばかりの頃の小さなレンタルオフィスの一室が紹介され、4人いるとそれだけでギュウギュウだったことや、コピー機がなかったために新川氏が苦労したこぼれ話などで盛り上がった。

新作『Death Stranding』についてはやはりまだ言えないことが多いようだが、使用するエンジンについては、「市販のものではない某有名スタジオのエンジンを技術提携して使っています」とした。プレイは一人でもできるが、他のプレイヤーとも今までにないつながり方での遊び方ができるようだ。気になる発売時期は「発売日は決まっています。オリンピックよりは前。『AKIRA』の舞台になった年よりも早いでしょう」と語っていた。ちなみにコミック版『AKIRA』の舞台は2019年だ。

『Death Stranding』の主人公のモデルになっているノーマン・リーダスについては、小島監督とノーマンがタッグを組むはずだった『Silent Hills』の開発中止決定以降も、ノーマンが小島監督のことを心配してくれて連絡を取り合っていたとのこと。そのため、主人公はノーマン・リーダスありきで『Death Stranding』開発はスタートしたとのことだ。小島監督はノーマンについて「すごいナイスガイです。やんちゃないたずら大将みたいな感じですが、実はすごく気を遣ってるんです」と評価していた。新川氏が「ノーマンの服装でキャラクターらしさを表現しようとしています」と語ると、小島監督は「衣裳の面でも今までのヒーロー像とはまったく違う、今までにない形になっています。こんなヒーロー見たこと無い、こんなノーマン見たこと無いと思ってもらえると思います」と予告していた。

そして会場がもっとも盛り上がった質問のひとつが、小島監督のコナミ退社後に発表された「メタルギアソリッド」シリーズの最新作『メタルギアサバイブ』は小島監督が残した企画なのか?というもの。小島監督はそのことを「全然関係ないです」とはっきりと否定した上で、あくまで監督自身の考えとして「僕が考える『メタルギアソリッド』はポリティカル・フィクションでありエスピオナージものなので、ゾンビなんて出るわけないじゃないですか!」と明快に断じて大歓声を浴びた。

ステージの最後、新川氏は「今日どのぐらい人が来てくれるか心配でしたが、すっごいたくさんの人が来てくれて本当にありがとうございました。これからも今まで見たことない新しいゲームを作っていきたいと思います」とあいさつ。小島監督は「皆さんとのつながりをひしひしと感じております。我々はインディーズなので、世界中の皆さんとつながったゲーム作りをしたいと思います。必ずやいいものを作って皆さんに喜んでもらおうと思うので、よろしくお願いします」と締めくくっていた。