昨年運行され、好評だった西武鉄道のヱビスビール(生ビール)飲み放題イベント電車。今年も「ヱビスビール特急 2016」として、9月14日に西武新宿発、9月15日に池袋発で運行された。14日の西武新宿発の列車を取材した。

「ヱビスビール特急 2016」は「レッドアロークラシック」車両で運行

車内ではヱビスガールがビールを配る

「ヱビスビール特急 2016」運転当日の西武新宿駅では、19時30分ころには入場待ちの長い列ができていた。あらかじめ入場を済ませた上で、臨時列車が入線する時刻に合わせて全員が乗車する。この列車はミステリー列車ということもあり、駅の案内表示には「臨時」とだけ記されていた。どこへ行くのか、わからないのだ。

10000系「レッドアロークラシック」車両を使用した臨時列車は19時44分に発車。ヱビスビールのテーマソングが流れた後、車掌から「ミステリー感を高めるために進行方向を反対側にした」と案内があった。車内ではヱビスビールの生ビールが飲み放題だ。

「ヱビスビール特急 2016」発車前の西武新宿駅に長い列が

ミステリー列車として走ることから、西武新宿駅では「臨時」のみの表示に

西武新宿線のターミナル駅である高田馬場駅を通過する際、乗客が一斉に手を振る場面もあった。同駅周辺は学生相手の居酒屋などが多く、周辺の大学生や専門学校生、とくに早大生がよく飲むことで知られている。帰宅途中の大学生も、特急用の列車の中で多くの人々がビールを飲むのを見て、うらやましかったのではないだろうか。高田馬場駅を通過する列車は、特急列車も含めて滅多にない。

西武プリンスドームで活躍するヱビスガールも列車に同乗。ヱビスガールの貫井奈美子さんが、車内放送で乾杯の音頭を取る。

「乾杯!」「乾杯!」

参加者はどんどん飲んでいく。

「乾杯!」

ビール! ビール!

おつまみの特製中華御膳

今回のおつまみとなるお弁当は、中国割烹旅館掬水亭「秋の特製中華御膳」、もしくはSASAYA-楽屋「地元野菜を使った秋のおつまみ弁当」となっていた。酒と箸が進む中、車掌は「他の席のお弁当にまで食い意地を張らないように」と笑いながら話す。このイベントでは、1日あたり800リットルのビールを提供するそう。「飲み放題としては多い」「皆さん、よく飲むのです」とビールサーバーのある車両にいたスタッフは言う。

臨時列車は鷺ノ宮駅、上石神井駅、東伏見駅と運転停車を繰り返し、東伏見駅では後続の急行・特急列車に抜かれる。所沢駅に到着すると、進行方向が変わる。どこへ向かうのだろうか。その次の駅あたりで、埼玉西武ライオンズのテーマソングが流れてきた。

20時53分、臨時列車は西武球場前駅に到着した。ここで、バーカウンターが設置された4号車にて「ヱビス マイスター 匠の逸品(樽生)」の試飲が始まる。ビールサーバーの前には、客室からはみ出るほどの長い列ができる。

西武球場前駅では、9000系「L-train」の前に特別な売店も設置されていた。おつまみを調達する人も多い。「レッドアロークラシック」車両の先頭では、ヱビスガールと記念写真を撮影しようと、多くの参加者たちが集まっていた。

西武球場前駅では、ヱビスガールとの記念撮影やじゃんけん大会などが行われた

「ヱビス マイスター 匠の逸品(樽生)」の試飲も

駅ホーム上はビアホール風になっており、列車から降りてもお酒が飲める。「L-train」の車内でも休憩できるようになっていた。じゃんけん大会のイベントもあり、ヱビスガールとじゃんけんし、勝者への商品はもちろんビール(とグラス)だった。

駅でのイベントが終わり、名残惜しいものの、21時45分ころ、満員の250名の参加者を乗せて西武球場前駅を発車。その後、所沢駅で一部参加者が下車する。

今回のイベントを担当した西武鉄道運輸部の浅野雅明氏は、平日夜に「ヱビスビール特急 2016」を運行したことについて「仕事帰りに参加してもらいやすいように」と説明し、「急ぐよりものんびり楽しんでほしい」と今回のイベントへの思いを語っていた。西武球場前駅での長時間停車も、乗客に楽しんでほしいとの思いからのようだ。ちなみにバーカウンターの車両は、西武鉄道の車両部が半日かけて作業したとのことだった。

復路は西武球場前駅を発車した後、約1時間かけて西武新宿駅へ。お疲れ様でした!

列車が西武新宿線を走り、西武新宿駅に近づくと、ヱビスガールの近藤志保さんが「今度は西武プリンスドームでお会いしましょう」とアナウンス。普段は西武プリンスドーム三塁側でビールを売っていると話していた。次回の開催も期待される「ヱビスビール特急」は22時41分ころ、西武新宿駅に到着した。