発売から3年近くになるが、その高画質性能はいまだに色褪せないシグマの標準ズームレンズ「SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM|Art」。今回、数日ほど持ち歩いて実写する機会をいただいたので、改めて使い勝手や画像の印象などを書いてみたい。カメラはキヤノンの「EOS 5Ds R」を使った。

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「EOS 5Ds R」+「SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM|Art」

まず手にして感じるのは、サードパーティレンズらしからぬといっては失礼だが、重厚で高い質感、高級感である。実測した重量は919g(フード付き、キャップと保護フィルターなし)。同じ条件で実測した手持ちのキヤノン「EF24-105mm F4L IS USM」が698gだったので、同等クラスの純正高級レンズより200g以上重く、なんとキヤノンの「EF24-70mm F2.8L II USM」と比べて約100g重い。

レンズ構成も、FLDガラス、SLDガラス、両面非球面レンズを含む14群19枚と凝っている(ちなみに、キヤノンの「EF24-105mm F4L IS II USM」は12群17枚)。絞りは9枚羽円形絞りで、4段分のOS式(Optical Stabilizer)手ぶれ補正も装備。贅沢に作られた、シグマのArtラインにおける代表格といえる。

標準~望遠は、絞り開放でも解像感がありながら、階調豊かな描写でボケ味も自然。ポートレイトには最適といえる
24mm相当・1/200秒・f8.0・ISO200
モデル:熊乃あい

手ぶれ補正(OS)は非常に優秀で、かなり薄暗いシーンでも手持ちでいける。公称は4段分だが、実感としても3段分は確実に利いている印象だ
50mm相当・1/160秒・f4.0・ISO400
モデル:熊乃あい

その性格と実力は?

実際の使ってみて真っ先に感じたのは、ズームリングとフォーカスリングの重さ。ズームリングは適度に重いほうが、不用意にレンズが伸びてしまわないというメリットの反面、素早いズーミングや動画撮影では少々使いにくいというデメリットもある。ここは使い方によって評価が分かれるところだ。

一方のフォーカスリングだが、こちらも重い。幅が狭く、ズームリングに近接していることもあって、筆者には使いにくかった。それなりの慣れが必要かもしれない。同様に、AFとOSの切り替えスイッチも、シブめで指かかりが悪く感じた。こうした操作感はともかく、AFは非常にすばやく、OSもよく利き、どちらも極めて静粛である。

"写り"については、ズーム全域で絞り解放から解像感がすばらしい。f8くらいでもっともシャープな描写になる。コントラストは高めで色ノリがよく、厳しい逆光でもゴーストやフレアは目立たない。広角側の周辺減光と歪曲がよく抑えられていて、自然な描写だ。手持ちのキヤノン「EF24-105mm F4L IS USM」と同じ被写体で撮り比べてみたところ、シャープネスや各種の収差など、「SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM|Art」のほうが上回っている。

105mm相当・1/100秒・f4・ISO100

50mm相当・1/200秒・f7.1・ISO400

105mm相当・1/200秒・f5.0・ISO400

42mm相当・1/500秒・f6.3・ISO400

74mm相当・1/250秒・f8.0・ISO400

24mm相当・1/40秒・f4.0・ISO400

光学性能、AF、OSともに優秀で、質感も最高のレンズであるものの、やはり重さが気になってしまう。今回はキヤノンの「EOS 5Ds R」(実測933g)との組み合わせで使ったが、カメラとレンズで2kg近くなると、長時間の携行にはツライものがある。気楽に持ち出してスナップ……という使い方にはちょっと向かない。

高級レンズでよく語られるように、「SIGMA 24-105mm F4 DG OS HSM|Art」も三脚を据えて撮る風景や、気合いを入れたモデル撮影などには最適だ。シャープで階調豊かな描写は、プリントアウトにも申し分ない。しかも大きく伸ばすほど、実力を発揮するといえるだろう。