【インタビュー】

ミニマリストの引っ越し術 - 物を捨てるのに本当に必要なのは"心の余裕"

「ミニマリスト」と呼ばれる人々がいる。持ち物を減らし、必要最小限の物で暮らす生き方の実践者だ。カナダ在住の筆子さん(H.N.)もその1人。自身のブログ「筆子ジャーナル」は『1週間で8割捨てる技術』として書籍化し、今も物の減らし方を多くの人に発信している。前回の衣替え時の服の捨て方に続き、今回は筆子さんに、引っ越し時にまとめて物を捨てるコツを聞いた。

インタビューイプロフィール: 筆子(ふでこ)

1959年生まれの節約系主婦ミニマリスト。付録やおまけが大好きなのに、もったいなくて使えない貧乏性だったが、20代後半のある日、ためこみすぎた物にうんざりしてシンプルライフに目覚める。
OL、派遣社員を経て1996年、37歳のとき単身カナダに留学。以後カナダ在住。モノが増えるプチリバウンドを経験しつつも、ついにシンプルライフを実現。2015年2月、ブログ『筆子ジャーナル』を開設し、持たない暮らしを発信中。

引っ越しは"棚卸し"のチャンス

――ご自身は引っ越しをされたことはありますか?

はい。直近の引っ越しは2014年の10月28日です。

――そもそも、引っ越しの荷造りを機に持ち物を減らそう、という発想に対して、筆子さんはどのようにお考えでしょうか。

もちろん、引っ越しを機会に物を捨てようと思うことはいいことです。何もかも新居に持ち込まず、この際、自分の人生に必要ないものは捨てて心機一転するチャンスです。

私は、タンスなど"物を収納する物"や"物を入れる物"が家にあると、中身がどんどん増えてしまうと考えています。

そういう入れ物でもっとも大きいものが家です。今の家を捨てて、より小さいスペースに引っ越しをし、人生をシンプルにさせる手もあります。

実際、私も、以前の家より狭いスペースに引っ越したので、家具を含め、かなりの物を捨てることができました。

たとえ今より広いところに移るとしても、運ぶ物が少なければ少ないほど、引っ越し作業も費用の負担も少なくなります。ですので、これを機会にできるだけたくさん捨てよう、と思うのは理にかなっているのではないでしょうか。実際、たくさん捨てることができるとも思います。引っ越しは、手持ちの物を棚卸しするチャンスですよね。

一般に、転勤が多い人は物が少なくなっていきますが、ずっと同じ場所に住んでいる人は逆に、何も意識していないとどんどん物が多くなっていくのではないでしょうか?

"いつか"はこない

――直近の引っ越しの時は、どんな物をどれくらい捨てたのでしょうか

すでにあまり物を持っていなかったのですが、マットレスや、自分が使っていた机のフレームと天板、キャビネット、衣類約30着、本を数十冊、文具を段ボール箱に1箱くらい、食器2箱、その他雑貨を120Lのゴミ袋1つぐらい捨てました。

――捨てるのに迷った物はありましたか

捨てようと思ったものには、迷いはありませんでした。ただ、直近の引っ越し前は、どれを捨てようか考えている心の余裕があまりなく、判断にかけないまま引っ越し先に持ち込んだものがけっこうあります。

――最初に捨てるといい物は何でしょうか

個人個人の状況によって違いますが、捨てる手配をつけるのに時間がかかる大きな家具を捨てるといいのではないでしょうか? あるいは簡単に捨てやすく、たいていの人が持ちすぎている洋服です。

――テンポよく捨てていくためのコツはありますか?

過去1年、使っていなかったものは捨てる、というルールを決めて、感情抜きで捨てることです。

――物を捨てる上で一番の障壁になるものは何ですか?

「いつか使うかもしれない」という気持ちです。

――逆に、最も助けになるものは何でしょうか?

「"いつか使うかも"の"いつか"は来ない。今の自分の暮らしや今後の理想の暮らしに貢献していない物はすべて捨てる」と決心することです。

物を捨てるには"心の余裕"が必要

――引っ越しを機に物を大幅に捨てようとする時、どれくらい前から着手すべきでしょうか

その引っ越しの状況によって違いますが、早い段階から着手すべきです。なぜなら、「引っ越しをすること」と「物を捨てる」ことは明らかに違うからです。

わが家の直近の引っ越しでは、家を出ることは決まっていたものの、引っ越し先は決まっていませんでした。なかなか引っ越し先が決まらず、直前は家探しで、時間も気力も取られており、物を捨てることに100%集中できたわけではありません。

引っ越し先や物を運搬する方法など、すべてが決まっていたら、捨てる作業に集中できるかもしれませんが、うちは、引っ越し前はそんな余裕は全くありませんでした。

掃除もしなければいけませんし、娘の荷造りも手伝わなければいけませんでした。荷物もたくさんあったし、できればすべてをそこに置いたまま家を出たい、という切羽詰まった気持ちになりましたが、そんなわけにはいきません。引っ越し前は切羽詰まっていたので、「いる、いらない」など考える心の余裕がなくて、そのまま引っ越し先に持ってきたものもあります。

もっと心の余裕があったら、もっとたくさん捨てて引っ越しできたと思います。

――引っ越しと物を捨てることを並行するのは難しいこともあるのですね……。「いる、いらない」を考える心の余裕がなかった、とのことですが、逆に言えば、物を捨てるには"心の余裕"が不可欠ということでしょうか

捨てることをコンスタントに継続するには、心の余裕が必要だと思います。「捨てる」「捨てない」といちいち考えるのはけっこう疲れる行為なので。

忙しいとだんだん部屋の中が荒れてきますが、心の余裕がないから、掃除や片付けに時間をとることがもったいない、と思ってしまうのです。

しかしその一方で、忙しい毎日でストレスがたまっている人は、ごく小規模な「捨てプロジェクト」(5分~15分だけ捨てるなど)をやってみると、すっきりできるという効果があります。

――物を捨てるのに必要な心の余裕を上手に確保するコツはありますか

もちろん、あります。

・びっしりスケジュールを入れないこと
・時間も自分の体力も気力も有限なリソースだと自覚すること
・限られたリソースを、自分の望んでいる未来につながることにあてること
・やらなくていいことはどんどん捨てること
・情報を遮断すること
・時には自分1人でぼーっとする時間を確保すること

こんなことを心がけて暮らすといいと思います。

――まずは自分の考え方を整理することが大事ですね、ありがとうございました。

「1週間で8割捨てる技術」(1300円・税別/KADOKAWA)

30年以上試行錯誤して、モノではなく自分が主役の部屋を手に入れたという筆子さんの体験と、ブログの読者の意見や感想を体系化した「捨てる技術」を盛り込んだ本。全体の8割のことは2割の要素が握っているという「パレートの法則」をベースに、所持品の8割を捨てられる人になるための具体的、実践的ノウハウを集めています。
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