レゴの「WeDo 2.0」は、小学生でも楽しくプログラミングを学習できるよう考えられたロボット教材である。昨今、子供に対するプログラミング教育が注目されており、2020年度からは、小学校でも必修化される見通しだ。自宅でも教えたいけれど、何を使ったらいいか分からない……と悩んでいる親御さんも多いかもしれない。
WeDoは、小さい子供にもお馴染みのレゴが手がけた製品ということもあって、プログラミングに触れる「最初の一歩」として最適だ。今回、正規代理店のアフレルから、同社のオリジナルセットである「レゴ WeDo 2.0 for home by アフレル」を借りることができたので、筆者の子供(小4男子+小1女子)と一緒に試してみた。
WeDo 2.0のセット内容
WeDo 2.0の「基本セット」は、280個のパーツと専用ソフトウェアで構成される。パーツには、ロボットの部材となる各種形状のレゴブロックのほか、「スマートハブ」「パワーモーター」「モーションセンサー」「チルトセンサー」といったWeDo専用部品が含まれている。
スマートハブは、Bluetooth対応のロボットコントローラ。単3乾電池2本で駆動し、2つのポートに、センサーやモーターを接続することができる。付属するパワーモーターは、回転方向と回転速度の設定が可能。チルトセンサーは傾きを、モーションセンサーは距離の変化をみることができる。
ロボットのプログラムは、GUIベースの専用ソフトウェアを使って作成する。WeDoのソフトウェアでは、各機能がアイコンで表現されていて、それを並べていくだけでロボットの動きを制御できる。機能としては簡易的ながら、プログラミングの概念を身につけるのには良いだろう。Windows/Mac版のほか、Android/iOS版も用意されている。
筆者は今回、Android版のソフトウェアを利用した。小さい子供にとっては、やはりPCよりもタブレットの方が使いやすい。筆者の娘もタブレットには慣れており、普段からプログラミングアプリの「ScratchJr」などで遊んだりしているので、全く抵抗なく始めることができたようだ。
アフレルのセットは、基本セットの内容に独自のテキストセットが追加されたものになる。これには、4冊のワークブックやシールなどが含まれており、基本セットで用意されているプロジェクト「科学探査機マイロ」のほか、3つの追加プロジェクト「しゃくとりくん」「ざうるすさん」「あひるちゃん」に取り組むことができるようになっている。
小1女子でも大丈夫?
WeDo 2.0を使えば、自分だけのオリジナルロボットを作ることができるのだが、そうは言っても、最初は何をどうやったらいいか分からないだろう。そこで、チュートリアルとして用意されているのが入門プロジェクト「科学探査機マイロ」。まずは、指示通りにロボットを組み立て、プログラムを作ることから始めてみよう。
1ステップ目で作るマイロは、単に決まった秒数だけ前進するものだったが、2ステップ目でモーションセンサーを追加。物体を見つけて、その前で止まることができるようになる。シンプルではあるものの、これでも立派な自律ロボットだ。入力→演算→出力という基本的な流れは、もっと高度なロボットでも変わらない。
マイロは娘にやってもらったのだが、ロボットの組み立ては全く問題なかった。タブレットの画面に1つ1つ工程が表示されるので、小1女子でも難しいことは無さそう。プログラミングについては、センサーの理解がまだ少し難しかったようだが、このあたりは使っているうちにすぐ慣れるのではないだろうか。
マイロの動き。花を検出して手前で止まっている |
また、アフレルのセットに付属するワークブックNo1には、マイロの前段階のプロジェクトとして、モーターを回すだけの非常に簡単なサンプルが入っている。10分もあれば完成するので、すぐに試すことができる。モーターが回るだけではあるが、娘も「面白い~」と、これで"やる気スイッチ"が入ったようだ。
ロボットを使うメリット
小4の息子には、本人の希望により、アフレルのワークブックNo3にある「ざうるすさん」も作ってもらった。これはティラノサウルスのような恐竜型ロボット。もちろん2足歩行ではないのだが、モーター1個の回転運動だけで両脚と口まで動かしていて、非常に良くできている。メカの仕組みとしても面白く、参考になるだろう。
これも、組み立て方やプログラムがワークブックに載っているので、それを見ながら作れば、問題なく作れるはずだ。ただ、筆者の息子はあまり説明書をちゃんと読まずにドンドン作ってしまうタイプなので、一部間違えていてうまく動かなくなったりしたが、それはそれでトラブルシューティングの練習になるので悪くない。
完成した後、息子は自分で勝手にブロックを追加したり、プログラムを改造したりして遊んでいたが、プログラミングを学習した経験がある人なら、こういったプロセスが非常に重要であることは分かるだろう。最初は意味が良く分からなくても、サンプルプログラムを改造してトライ&エラーを繰り返すうちに、理解が深まってくる。
ざうるすさんの動き。最初は順調に動いていたが… |
この4つのサンプルプロジェクトは、いわば"助走"のようなものだ。1日1つずつ取り組んだとしても、たった4日で終わってしまう。ここでまずロボットやプログラミングに慣れてもらって、それから自分で何かを作り出すようになる。これが本番である。親子で楽しみながら、うまく子供のモチベーションを上げて、続けていって欲しい。
プログラミングを学習するのであれば、PCだけでも十分可能だ。ただ、ロボットという物理的な実体があると、その動き自体も楽しめ、やる気を引き出しやすい。またメカの構造を工夫したりして、工学的なスキルも身につけられるのはロボット教材ならではの特徴と言えるだろう。
しゃくとりくんの動き。体の曲げ伸ばしだけで前に進む |
レゴのロボット教材としては、より高度な「Mindstorms」シリーズもある。Mindstormsであれば、アイコン方式のプログラミングのほか、C言語等による本格的なプログラミングまで可能であるが、小学生にはやや難しいかもしれない。まずはWeDoから始めて、それからMindstormsに繋げていくのも良い方法だと思う。