ジョージはビートルズの中でも、一般的には地味な存在と思われている。一般論なので僕も否定はしない。当たり前だ。ジョン・レノンとポール・マッカートニーという20世紀の天才に挟まれているのだ。さらにキャバーンの頃でいえば、ジョージ17、ジョンは二十歳だ。この年頃の3歳差は大きい。でもまぎれもなくジョージも偉大な天才である。

2001年11月29日、58歳で亡くなるまで9枚のアルバムを発表している(あ、『電子音楽の世界』(69年)とかは抜きです。小学生の時、なけなしのお小遣い2,200円で買って泣いたから)。中でも僕が1番好きなのは『オール・シングス・マスト・パス』(70年)である。このアルバムの収録曲の対決をご紹介しよう。なんと言っても、ジョージ、この時27歳だぜ。

ジョージ・ハリスン
『オール・シングス・マスト・パス』
(ユニバーサルミュージック/1970年11月27日発売)

「マイ・スウィート・ロード」と「美しき人生」 どっちが好き?

曲はスタジオ版そのままなのでご安心を。なんかジョージっぽくないビデオはご愛嬌。

こちらもはオリジナルテイクの「マイ・スウィート・ロード」

仕方ない結果ですかね。僕もこの二択を迫られたら、悩むしその日の気分で入れ替わると思う。今回はどの設問も僕が双璧と思う曲を並べてるからね。でも「マイ・スウィート・ロード」の知名度は強かったということで……、納得。ジョージ好きには常識ですが訴訟になったThe ChiffonsのHe's so fineもこれからジョージマニアになろうという方は聞いておいてソンはないだろう。

「アウェイティング・オン・ユー・オール」と「ワー・ワー」 どっちが好き?

この結果にはボカァ納得いってない。78:22なんて信じられない。もちろん、僕が好きで比較しているから、今回の結果はすべて50:50くらいの結果で順当のはずなのだ。どちらの曲もYouTubeにオフィシャルがなくてリンクが張れないが、もう一度聞いてほしい。「ワー・ワー」のイントロのリフの素晴らしさ。自分で弾いてみると思いのほか運指が難しく滑らかにならないこと、「アウェイティング・オン~」が2分45秒という、いい曲なのにすぐ、終わってしまうという欠点があるのに対し、「ワー・ワー」は5分34秒という大作であること、あくまで噂だが歌詞がポールへの皮肉であることなどなど……奥深いのだ。素晴らしさを挙げつらったら枚挙にいとまがない。いつか、もう一度アンケートを取り直そう、そう固く決心した9月5日。

「アート・オブ・ダイイング」と「ヒア・ミー・ロード」 どっちが好き?

どちらもマイナー基調のいい曲である。「ヒア・ミー~」がブルースっぽさを前面に押し出しているのに対し、「アート・オブ~」はロックである。ワウペダルが効果的に使われたナンバーだ。このアルバムではジョージはワウを多用してるのも特徴。

こちらもアレな結果に終わった。「アート・オブ~」が44:56と負けてしまった。「アート・オブ~」のサビのリフのすごさ、1分45秒あたりをもう一度聞き直してほしい。このフラッテッドフィフスの使い方のうまさ、感動に値する。後のロックを変えるフレーズなのだ。こちらもいずれアンケートを取り直す。どうせ、人の意見なんて僕は聞かないのだ。よく非難される。

「オール・シングス・マスト・パス」と「イズント・イット・ア・ピティー」 どっちが好き?

アルバム表題曲と、テイク違いの2曲を選びきれず両方入れてしまった、ジョージのお気に入りの曲の対決である。

どちらもスケールの大きな悠久の時を感じさせてくれる大作です。ジョージがビートルズで何を我慢してきたか、耐えてきたかを教えてくれる素晴らしい曲ですね。結果は僕も満足です。

「イフ・ノット・フォー・ユー」、ジョージとボブ・ディラン どっちが好き?

最後に、このアルバム唯一のカバー曲、本家とジョージの対決です。

僕にとっては意外な結果で、ディラン55:45で負けてしまいましたね。アクのないストレートで美しいアレンジはポップそのもので、ジョージに軍配が上がったのでしょう。

発売30周年のリマスター盤が出ている。ボーカルを入れ直したものやテイク違いが楽しめる。一度は聞いておきたいアレンジ盤だ。
ジョージ・ハリスン
『オール・シングス・マスト・パス~ニュー・センチュリー・エディション~』
EMIミュージック・ジャパン

この原稿を書く上でいろいろ思い出しながらネットを徘徊していたら面白いものを見つけた。ジョージの息子、ダーニ・ハリスンはジョージのトリビュートコンサートなどに多数出演している。その面立ちや歌い方、発音がジョージの若いころに非常に似ているので驚かされた。以下のキーワードで調べてみるのも一興です。
「Dhani Harrison - SAVOY TRUFFLE COVER Beatles HD」

みなさんの大好きなジョージ・ハリスン。ホントは驚くほどスライドが上手い。クラプトンより上手いのだ。

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読者のジョージファン代表のコメントを紹介しよう。

「ボブ・ディランと比べるのは究極の選択でした…」(千葉県47歳男性)
──ディラン・ファンならなおのことだね。

「ジョージ、ソングライターとして唯一無二、まさにジョージ節とも言えるメロディーラインが最高」(茨城県53歳男性)
──個性がシッカリありますね。「ジョージの曲だっ」とすぐにわかる。

「ビートルズのメンバーの中では一番好きでした」(神奈川県57歳男性)
──そうだよ、その通りですよ。特に解散後は最高。

「ジョージでは『セット・オン・ユー』が一番好きです。テレビ東京の『男子ごはん』のテーマ曲です」(愛知県43歳男性)
──大丈夫、次回ちゃんと出てきますよ。

「ジョージと云えば、バングラディシュコンサートが思い起こされる」(福島県65歳男性)
──大丈夫、こっちも次回ちゃんと出てきます。

さて次回のテーマもジョージです。アルバム同士の対決を聞いていきます。ぜひご参加ください。期間は本日9月6日(火)18:00~9月8日(木)23:59。詳しくはマイナビニュース、会員ページをご覧ください。

調査時期: 2016年8月30日~9月1日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 40歳以上1,089名(男性832名 女性257名)
調査方法: インターネットログイン式アンケート