過剰なアルコール摂取は血圧を高め、脳出血を誘発する

いまだに年間で万単位の人を死に至らしめる脳出血。命を取り留めたとしても、体の麻痺や言語障害など、日常の生活に多大な影響が出る後遺症を残すこともある。そして何の前触れもなく発症するため、日ごろからの予防が重要となってくる。

本稿では高島平中央総合病院脳神経外科部長の福島崇夫医師の解説をもとに、脳出血の予防法と万一倒れてしまった場合の治療法を紹介する。

塩分を控え、野菜を多く摂取

まず予防について最も効果が見込めるのは「血圧のコントロール」。実に6割の脳出血患者の原因が高血圧と言われているからだ。

「高血圧は破裂脳動脈瘤(りゅう)によるくも膜下出血や脳梗塞の原因にもなりますから、脳卒中全体の予防学の観点から考えても非常に重要です。最も注意しないといけないのは血圧のコントロールと覚えておきましょう」。

そのために大切となってくるのが食生活。血圧を過剰に上げないためには、過度の塩分摂取を控えて緑黄色野菜を日ごろから食べておく必要がある。コンビニエンスストア・スーパーマーケットの弁当や加工食品、ファストフードのメニューなどには塩分量の表示がされていない製品もある。知らず知らずのうちに思わぬ量を摂取している場合もあるので、十分に注意してもらいたい。

食事面で言えば、アルコールを控えることも血圧コントロールには有効だ。

『脳卒中ガイドライン』にも飲酒と脳出血の関連性が明記されているため、γ(ガンマ)GTPが過度に上がるぐらいの飲酒はよくありません。1週間のうちできちんと休肝日を設け、飲酒を控えることが大事になってきます」。

コレステロールとの因果関係

また、疫学調査でコレステロール値が低い人に脳出血の患者が多いというデータが報告されている。そのため、適度なコレステロール値を保つことも効果的な予防法となる。

実は、コレステロール値と脳出血リスクの因果関係は明らかになっていない。ただ、コレステロールは血管の壁を作るのに必要な栄養素でもあるため、あまりにもコレステロール値が低い「低栄養状態」だと、血管がもろくなって出血するのではないかと推測されている。

コレステロール値は、性別や年齢によって正常値が異なってくる。気になる人は健康診断などで得られたコレステロール値が正常値から大幅に乖離(かいり)していないかをチェックするといいだろう。