スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「Bluetooth LE」についてです。

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音楽再生や端末間のデータ転送などに利用されている近距離無線通信規格「Bluetooth」では、バージョン4.0のときNokiaが開発を進めていた「Wibree」をもとにした低消費電力の通信規格「Bluetooth Low Energy」(BLE)を追加しました。スマートフォンではAndroid OS 4.3以降とiOS 5以降で採用され、その特性を生かしさまざまな機能に活用されています。

最大の特徴は、機器によってはボタン電池1つで数年動くといわれるほどの省電力性にあります。それ以前のBluetooth規格(クラシックBluetooth)では79あった通信チャネルを40に削減する、通信相手を探すときの対象チャネルを減らすことでスキャンにかかる時間を短縮する、通信1回あたりのデータサイズを小さくして短時間で通信を完了させる、相手からの問い合わせに対する応答回数を効率化する、などの工夫が効果を発揮しています。 周波数帯はクラシックBluetoothと同じ2.4GHzを使用するため、アンテナや高周波回路は共用できますが、プロトコルに互換性はありません。対応端末は、クラシックBluetoothの動作モードも併せ持つ場合は「Bluetooth Smart Ready」、BLEのみの場合は「Bluetooth Smart」というロゴを掲げます。スマートフォンの場合、オーディオ機器や外部キーボードとの接続にクラシックBluetoothを必要とする都合上、基本的には前者と考えていいでしょう。

BLEでは、サーバの役割を果たす機器上のデータをクライアント側から読み書きする、という流れでデータ通信が行われます(GATTベースプロファイル)。マウス・キーボードやバッテリー残量の扱いなど標準的なものはBluetooth SIGが定義していますが、機器の開発者が独自定義することも可能です。

BLEを活用した機能としては、iOSでは「AirDrop」や「HandOff」が知られています。省電力なBLEにより通信相手を検出し、実際のデータ転送はWi-Fiにバトンタッチするという方法で通信速度を稼いでいます。Android OSでも、スマートウオッチなど外部機器との通信に利用されています。

Bluetooth LEに準拠の製品には、「Bluetooth Smart Ready」または「Bluetooth Smart」のロゴが掲示されています