【レポート】

認識技術を武器に消費活動の見える化を目指す - Zebraの挑戦

オムニチャネルやO2Oといった技術の発展を追い風に消費者の購買行動を活発化し、ビジネスの拡大を図る。近年、こうした動きが加速している。そうした動きを背景に小売店舗や物流・配送といった分野におけるIT化が進んでおり、そこで活用される機器に対するニーズも変化している。

例えば宅配業者や小売店舗における荷受け業務などで用いられるハンディターミナルは、従来、堅牢性が重視されていたが、最近では、スマートフォンやそれに関連した技術を活用したい、というニーズが出てきているし、POSレジスタがiPadになっている店舗を見たことがある人も居るだろう。

「コンシューマの技術を業務に取り込んで、それを製品に落とし込めるかどうかは企業の状況により異なるが、少なくとも我々は他社に先んじて製品を投入していくスタイルでビジネスを展開している」と語るのはハンディターミナルやバーコードスキャナ/RFIDリーダなどを手掛けるZebra Technologiesの日本法人ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパンの代表を務める古川正知氏だ。ゼブラはMotorola Solutionsのエンタープライズビジネス部門を買収し、ハンディターミナル事業の強化を図っており、Motorolaが買収したSymbolブランドも引き継いでいるため、それらの名前で知っている人も多いだろう。

Motorola Solutionsのエンタープライズビジネス部門を買収し、ハンディターミナル事業を強化したのが現在のZebraとなる

古川氏によると、ゼブラの基本方針はコアコンピタンスであるバーコードを読み取る技術や自動認識の技術をベースとして製品を展開していく、というものであり、現状、小売りや運輸・物流、製造、ヘルスケアといった分野に向けて、高堅牢性のモバイル・コンピュータ(ハンディターミナル)、バーコードスキャナ/RFIDリーダ、業務用無線LANルータ、バーコードプリンタといった製品を提供している。また、近年はIoTというトレンドを受け、単に各種端末を提供するのみならず、業務の現場における各種資産(配送トラックそのものや運ばれる品物、そこで働いている人、業務内容)などをトラッキングして、見える化してつなげ、クラウドを経由して解析を行い、現場にフィードバックし、生産効率を向上させるといったサービスの展開も進めているという。

自社の有する要素技術を組み合わせたIT技術を活用することでターゲットとする業界の見える化を促進し、顧客の事業拡大を支援することを目指す

そんな同社がハンディターミナルなどのOSとして現在、注力しているのが、Andoroid対応だ。従来、ハンディターミナルは独自OSやWindows CEなどが中心であった。しかし、それらのOSではサポート期間の問題や多機能化が難しいという課題があった。Androidを活用することで、各種アプリを1台の端末内で稼動させ、必要とするときに必要とする機能を活用することができるようになる。例えば、店舗に買い物に行って、店頭には欲しいサイズや色がないが、バックヤードにはあるかもしれないので、見てきます、と店員に言われ、戻ってくるのを延々と待たされた、という経験をした人は多いはずだ。商品在庫状況を端末で確認できれば、そうした手間を省け、顧客満足度も向上できる、といったことにつながる。

「ホームセンターなどでは、インカムとPHS、ハンディターミナルといった重装備で働いているスタッフを良く見かけるが、Androidハンディターミナルであれば、それらの機能を統一し、かつバックヤードでやっていた本部とのメール連絡も手元でできるようになるといったことも可能となる」(古川氏)とするほか、Bluetooth LowEnergy(BLE)と連携させた従業員の位置トラッキングによる作業/業務効率改善や商品につけたRFIDとの連動による商品管理なども1台の端末で可能になるという。

Androidの業務活用として気になるのがOSのバージョン管理だが、「我々自身が管理を行うことで柔軟な対応を実現しているほか、セキュリティや無線LANのローミングに対する改善など、通常のコンシューマ向け端末では提供できない部分も補完することで、業務でも安心して使ってもらえる環境そのものを提供している」と胸をはる。

左がAndroidを搭載したZebraのハンディターミナル。右はハンディターミナル以外の同社の製品群

こうした取り組みの根幹にあるのが、同社が掲げる「EAI(エンタープライう・アセット・インテリジェンス)」だ。これは、「モビリティ」、「IoT」、「クラウド」の3つを組み合わせて、法人業務におけるアセットの「見える化」を追求し、リアルタイムに導き出された知見を現場にフィードバックすることで、生産性の改善や顧客満足度の向上につなげることを目指すもので、「現場で何が起こっているのかを分かるようにすることが我々の目指すべき方向性だ」という。

Zebraが掲げるEAIの概要

具体的には「Analyze(情報の分析・解析)」→「Action(決断に基づいたアクション)」→「Sense(情報の感知(収集))」、そして再び「Analyze」と言った具合につながっていくことで見える化を実現していくことを目指しており、その実現のために、「SMARTER DEVICE(よりスマートな機器)」、「SMARTER THINGS(よりスマートなモノ)」、「SMARTER ENVIRONMENTS(よりスマートな現場環境)」の3つの実現に向けた取り組みが進められており、Androidの業務端末への適用もその一環となっている。

彼らがアセットとするのは単なる機材だけではなく、そこに実際に流れているモノ、人、作業内容など、業務に関わるすべてであり、商品トラッキングでは近年、RFIDの活用も進みつつあるという。RFIDというと、値札シールに比べてコスト高なため、なかなか導入が進まない、というイメージが根強いが、在庫管理の円滑化や販売機会の向上などを目的に活用が進みつつあるという。また、同社のRFID技術はNFLでも活用されるなど、過酷な環境下でも十分に適用できることが示されており、耐久性という面の問題もクリアしているという。

Zebraが提供する製品群とサービスの一覧。これらを組み合わせることで、さまざまなモノのトラッキングを可能とし、見える化が可能となる

ただし日本での動きはどうか、というとまだ生産から物流、販売までを垂直統合した小売業での活用が始まった程度で、今後のO2Oやオムニチャネルの進展に伴い、活用が進むのではないか、と古川氏は語っており、今後は、Android端末の普及も含め、日本地域ならではの商習慣やニーズなどを踏まえ、顧客の意見を聞き入れていくことで、国内でのさらなる事業の拡大を図っていければ、と語ってくれた。

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