表情豊かな断崖奇岩から"陸の海"の冒険も

金見展望台から約8km、島の北西端には花崗岩がムシロのように敷き詰められたように見える「ムシロ瀬」がある。花崗岩の白と青い海の対比は美しく、周囲に茂る大島紬の染料となる車輪梅やアダンなどの緑も相まって、独特の景観を作り出している。ムシロ瀬は夕日が美しいことでも知られており、回遊魚の釣り場としても人気だ。

花崗岩がムシロのように敷き詰められたように見える「ムシロ瀬」(天城町)

ムシロ瀬の周囲には、大島紬の染料となる車輪梅やアダンなどの緑が

ムシロ瀬から約4km南下したところにはマリンスポーツやダイビングでも人気の「ヨナマビーチ」がある。ここにはホテルやバンガロー、レジャープールなどの施設も整っており、徳之島で開催されるトライアスロン大会のスタート地点にもなっている。

そこからさら南へ約5km、徳之島空港の先には鍾乳洞が沈み、約400m先の海底とつながった海底洞窟「ウンブギ(陸の海)」がある。ここは干満の影響を受けて水位が変化する。周囲にはウンブギアナゴと呼ばれる日本で初確認された珍しいアナゴなど、南国特有の希少動植物も生息する神秘的な場所だ。

「ウンブギ(陸の海)」は鍾乳洞が沈み、約400m先の海底とつながった海底洞窟

ウンブギは干満の影響で水位が変化する。画像は干潮時の様子

なお、指定希少動植物の捕獲や採取は禁止されており、違反すると最高で5年以下の懲役、または500万円以下の罰金を科せられるのでご注意を。

「犬の門蓋」は今日、絶景の地に

ウンブギから南に約5km、東シナ海に面し、季節風や荒波に浸食された断崖奇岩の絶景が見られる「犬の門蓋(いんのじょうふた)」もまたユニークだ。名の由来は大昔この地で大飢饉があった時、犬が群れをなして人畜に危害を及ぼしたため、捕まえ海に投げ捨てたという少々ショッキングなものだが、絶景ぞろいの徳之島の中でも突出した景観はここならではのもの。

「犬の門蓋」は東シナ海に面した海岸で、荒波に浸食された断崖奇岩

中でも長い年月をかけ自然が創り出したメガネ岩からのぞく空と海の絶景だ。点在するメガネ岩から見える景色はそれぞれ異なっており、夕日の名所としても知られる。

メガネのようにくりぬかれた空間からのぞく、空と海の景観もまたいい

「鶏飯」を食べずには帰れない!

今回は徳之島の海の絶景やレジャーを中心に紹介したが、この他3町にはそれぞれに「闘牛場」があり、闘牛の練習風景が見学できる「徳之島なくさみ館」、国の天然記念物アマミノクロウサギの観察小屋やゴルフ場などの観光施設も整備されている。

約3万平方メートルの敷地に約110種類、1万5,000本の南国の熱帯植物を見ることができる「徳之島フルーツガーデン」では、島料理「鶏飯」なども楽しめる。島内には「長寿草」や「有機栽培グアバ茶」など、長寿の島にふさわしい健康的な特産品も多い。空港の売店には島の特産品やお土産が充実している。

「徳之島フルーツガーデン」では「鶏飯」などのご当地グルメも楽しめる

徳之島空港内の売店は、お土産や特産品が充実している

島内の移動は公共交通では路線バスがあるが便数は少ない。あとはタクシーかレンタカーを利用することになるが、今回お願いした観光ガイドの利用もオススメだ。ガイドシステムや料金はガイドにより異なるが、富山さんの場合、車・ガイド・保険料込(2016年8月現在)で4時間コース税込4,000円(3人の場合、ひとり当たり)~税込8,500円(ひとりの場合)、以降1時間毎に税込1,500円の追加代金とリーズナブルだ。なお、徳之島の観光ガイドは徳之島虹の会等でも行っている。

見所いっぱいの知られざるネーチャーワールド、徳之島に一度出掛けてみてはどうだろうか。

※記事中の情報は2016年8月のもの

筆者プロフィール: 水津陽子

フォーティR&C代表、経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、企画コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。著書に『日本人がだけが知らないニッポンの観光地』(日経BP社)等がある。