グーグルは、8月15日に、新しいビデオチャットアプリ「Duo」をリリースした。2016年5月に開催された開発者会議「Google I/O 16」で、人工知能アシスタントを搭載したメッセンジャーアプリ「Allo」とともに発表された新しいアプリで、AndroidとiOS向けに用意される。この製品は非常にシンプルで、スマートフォンの電話機能さながらの使い勝手を提供してくれるアプリだ。しかし、グーグルにはすでに「Googleハングアウト」と呼ばれるビデオチャットサービスが存在しており、その棲み分けも不明瞭となってきた。グーグルがDuoをリリースする理由とは何か?

グーグルのビデオチャットアプリにはDuoのほかハングアウトもある。この違いはどこにあるのか

コミュニケーションをよりシンプルに

グーグルのDuoは、コミュニケーションの観点、そしてテクノロジーの観点から、一目置くべき存在であると考えられる。Duoを使い始める際、ユーザー登録などは不要だ。アプリを開いて、電話帳から相手の電話番号を見つけてコールするだけで良い。ただし、相手がDuoを持っていない場合は、SMSなどでDuoをダウンロードするリンクを送る必要がある。

Duoの作りは非常にシンプル。初期設定を済ませると画像左が表示されビデオ通話ボタンを押すと連絡先に移動。あとは画像右の画面右上のように設定やヘルプがあるのみだ

DuoをAndroidで利用する際、自分がコールを受け取る前から、かけてきた相手のビデオが表示される「ノックノック機能」も搭載されている。この点は非常に画期的だ。コールに応答してから相手の映像が映し出されるのではなく、コールへの応答を待っている相手の様子が見られるのは新鮮な体験だし、確かにそうあるべきだと感じた。小さなことだが、これまでのビデオチャットアプリにはなかった機能だ。

Duoで利用されているのは、標準的なWebRTC(Web Real-Time Communication)で、ブラウザではプラグインなしでのビデオチャットやファイル転送を行うことができ、Google ChromeとFirefoxに実装されている。2016年になってアップルも、Mac向けSafariに搭載するようになった。また、エンドツーエンドでの暗号化や、グーグルが取り組む新しい高速プロトコルQUICを採用した。

開発者向け会議「Google I/O」でもWebRTCやQUICなどが強調された

ユーザー体験の側面、テクノロジーの側面で、Duoは非常にシンプル化を進めているという点が印象的だ。ただし、現時点ではそれ以上の評価ができないほどに、シンプルさが極まっているとも指摘できる。