説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『テレビやゲーム端末のUSBポートでもiPhoneを充電できる?』という質問に答えます。

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USBロゴが付いた、言い換えればUSBの認定プログラムを取得した機器のUSBポートであれば、iPhoneに充電できます。その機器が作動している(電気が流れている)ことが前提ですが、テレビにせよゲーム端末にせよ、iPhoneをLightningケーブルで接続すれば充電が開始されます。

現在主流のUSB 2.0規格では、9本(USB On-The-Go対応の場合10本)あるピンのうち1番ピンに5ボルト/500ミリアンペア、電力に換算して2.5ワットが給電されます。USB機器はこの電力(バスパワー)を利用して動作しますが、iPhoneはそれをバッテリーに蓄電するというわけです。

ところで、iPhoneを含むスマートフォンは高性能化により消費電力が増える傾向にあるため、バッテリーの大容量化が進んでいます。電流が変わらなければ充電完了までの時間が増すことから、新しい端末はより大きい電流に対応するようになっています。たとえば、iPhone 6sは最大5ボルト/1.4アンペアでの充電が可能です。

それだけに、500ミリアンペアという電流は蓄電用途にじゅうぶんといえません。iPhoneには電流制限機構が搭載されていますから。5ボルト/2.4アンペアのACアダプタに接続しても支障はなく、そのぶん充電の所要時間を短縮できます。iPhone以外のスマートフォンにしても同じことです。

テレビやゲーム端末は、スマートフォンの充電を考慮する必要がありませんから、定格どおり500ミリアンペアの機種が大半と考えられます。実際、2015年秋に発売の薄型テレビのUSBポートを測定したところ、iPhone充電時は500ミリアンペアでした。テレビや家電のUSBポートでも充電はできるがパワーに乏しく時間がかかるため、ほかに選択肢がない場合にやむなく利用するもの、という認識でいいのではないでしょうか。

薄型テレビなど家電製品のUSBポートでも充電できますが、多くの機種は電流が定格の500ミリアンペアのため、完了までの時間がかかります