説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneは急速充電に対応していないの?』という質問に答えます。

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急速充電という言葉はあいまいで、何に対して高速なのか、何をもって標準速度とするのかがはっきり定義されていません。米Qualcommが開発した「Quick Chage 2.0」のようなスマートフォン/タブレット向け高速充電規格は存在しますが、iPhoneは特にそのような規格への準拠をうたっていません。

iPhoneは必ずUSB経由で充電することになりますから、USB規格で標準のパワー(5ボルト/0.5アンペア)と比べて速ければ高速、と言うことは可能でしょう。iPhoneに付属のACアダプタは5ボルト/1アンペアと2倍の給電能力を持ちますから、それを利用した場合が標準の充電速度だとすると、より大きい電流でなければ急速充電とは言えなそうです。

公式発表はされていませんが、iPhone 6/iPhone 6sは最大5ボルト/1.4アンペアまでの充電に対応しています(iPhone 6 Plus/6s Plusは最大5ボルト/2.0アンペア)。ということは、付属のACアダプタよりも高い給電能力を持つUSBポート(ACアダプタやバッテリー)を用意すれば、より高速な充電が可能になります。USB標準の5ボルト/0.5アンペアに比べれば、じゅうぶん急速充電と呼べるレベルではないでしょうか。

なお、iPhoneの内部には過電流を制限する機構が用意されているので、5ボルト/1.4アンペア以上の給電能力を備えるACアダプタやバッテリーも利用できます。実際、iPad(第4世代)とiPad mini(第2世代)に付属のACアダプタは5.2ボルト/2.4アンペアという仕様ですが、iPhone 6/6sおよびiPhone 6 Plus/6s Plusで利用できますし、「Apple 12W USB電源アダプタ」という名称で別売りされている製品の詳細ページを見ると、対応機種にiPhone 6sなどの名前を確認できます。

現行のiPhoneは「急速充電」を強調してはいませんが、大出力対応のACアダプタやバッテリーで充電すると、付属のACアダプタより速く充電できます