写真左が新モデルの「ソニッケアー ガムヘルス HX8931/11」。写真右は、1分間動作するリフレッシュモード(手早く磨きたい場合に使う)を加えた「フレックスケアープラス」

フィリップスは8月18日、電動歯ブラシの新製品「ソニッケアー ガムヘルス HX8931/11」(以下、ガムヘルス)を発表、都内で記者説明会を開催した。ガムヘルスの価格はオープン、市場想定価格は15,800円(税別)で、全国の家電量販店や通信販売等で販売される。9月上旬の発売予定だ。

ガムヘルスは、"歯ぐき"のケアに特化した電動歯ブラシ。「プロリザルツガムヘルス ブラシヘッド」と呼ぶ新開発のブラシヘッドを同梱するほか、「ガムプラスモード」を搭載する。

「プロリザルツガムヘルス ブラシヘッド」は、ほかのブラシヘッドと比べてやや長めのブラシ毛を中央一列に配置。毛先全体が長くブラシがしなるため、歯ぐきに当たる感触がソフトで、やさしくケアできる。さらに、中央の先端部分が少し凸状になっていることから、歯と歯ぐきの間の歯垢を除去しやすい形状を持つ。

新たに登場した歯ぐきケア用の「プロリザルツガムヘルス ブラシヘッド」。付け替えブラシとして従来製品にも使用可能

「プロリザルツガムヘルス ブラシヘッド」の特徴

真ん中部分にくぼみがある山型状のため、歯と歯の間にまで毛先が入り込める新ブラシ

新ブラシは全体的に毛先が長い。歯に沿ってしなるため、歯のすき間にフィットする

ブラシ先端を拡大してみると、毛先は丸くなっているのがわかる

「ガムプラスモード」は、ブラシヘッドが歯ぐきをやさしく叩くような動きを、約2分間行う。ブラッシングの強さを3段階で設定することも可能だ。

歯垢除去のための「クリーン」モードと「ガムプラスモード」を設定することが可能。いずれもブラッシングの強さを3段階で調整できる

本体の操作部。電源ボタンを押すとモードが切り替わり、下の+-ボタンで強弱が変えられる

【動画】モードと強弱を切り替える様子
※音声が流れます。ご注意ください。

説明会でプレゼンテーションを行ったのは、フィリップス エレクトロニクス ジャパン オーラルヘルスケア ジュニアマーケティングマネージャーの佐々木栄美氏。現在、日本人が抱える口腔内の悩みやトラブルで最も多いのが"歯周病"とのこと。世界的に見ても、歯周病経験者の割合はアメリカが16%、イギリスが15%、日本が29%と、日本が突出して高い。

この差は、保険制度の違いによる関心度や、審美歯科に対する意識の差が起因しているものというのがフィリップスの推察。今回の新製品は、こうした背景を持つ日本の消費者向けに開発を続け、日本発で全世界に販売していくとのことだ。

新製品とともに、フィリップスの電動歯ブラシの歩みを紹介した、フィリップス エレクトロニクス ジャパンの佐々木栄美氏

フィリップスが調査した、日本の消費者が抱える口腔内の悩みやトラブルのランキング

フィリップスの電動歯ブラシは、歯科衛生士が開発し、日本の歯科医・歯科衛生士使用率が8年連続1位を誇る。2015年の充電電動歯ブラシ市場における販売数も1位というトップブランドである。

ソニッケアーシリーズ全体としての特長は、1分間に31,000回の高速振動と、幅広く振幅するブラシヘッドで発生させる音波水流による、強力な歯垢除去能力だ。フィリップスによると、手作業で磨く場合の約50%のブラシ圧で、効果的に口腔ケアができるという。

フィリップスのソニッケアーシリーズの歩みと、電動歯ブラシ市場の遷移

ソニックケアシリーズの大きな特徴である"音波水流"を示すデモンストレーション。ブラシを手で動かさなくても、激しく水滴が上がるほどの水流を引き起こす

【動画】ブラシヘッドの高速振動と振幅により発生する"音波水流"の様子
※音声が流れます。ご注意ください。

フィリップスはガムヘルスと同時期に、「ダイヤモンドクリーン ディープクリーン エディション」など3モデルを発売。合計6つのラインナップをそろえ、ニーズに合わせたソニッケアー製品を選べるようにする。

フィリップスのソニッケアーシリーズ、2016年秋からのラインナップ一覧

新製品を加え、ブラシヘッドは7種類を展開する

9月上旬には「ダイヤモンドクリーン ディープクリーン エディション」も発売。従来の「ダイヤモンドクリーン」に、歯垢除去力が10倍という「ディープクリーンモード」を搭載し、カラーラインナップに「ローズゴールド」が加わった

「ダイヤモンドクリーン」の新色・ローズゴールド。本体全体は少しラメが入ったパールホワイトで、ブラシヘッド装着部のリングにローズゴールドを採用。洗練された大人の女性向けのデザインに。充電パーツや付属ケースも、本体のデザインに合わせたカラーが採用されている

歯周病って恐い……!

今回の説明会には、日本歯周病学会の専門医・指導医を務める、誠敬会クリニックの田中真喜氏が出席。「我が国における歯周病の現状とソニッケアーを活用した歯周病予防」と題したセミナーを行った。

誠敬会クリニックの田中真喜氏

田中氏がまず紹介したのは、2011年に厚生労働省が行った歯科疾患実態調査。それによると、日本人の5歳~14歳の40%、15歳~24歳の72%、25歳~59歳の84%、65歳以上の68%が歯周病の有病者だとし、警鐘を鳴らす。

「もはや歯周病は日本の国民病といっていい。にもかかわらず、歯周病治療で歯科医院を定期受信している患者はわずか2.6%にすぎない(厚労省の調査から)。歯周病は『Silent Disease』とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行する病気。短期間ではなく、年単位で知らないうちに進んでいき、気が付いた時には歯を喪失してしまうということになりかねない。歯は喪失してしまうと、糖尿病や動脈硬化などほかの病気にもつながる」(田中氏)。

さらに、「予防には、3カ月~6カ月おきの医師による定期健診に加えて、歯周ポケットと呼ばれる歯周病原菌の住み処となる部分のセルフケアが必要」とし、ガムヘルスは効率的なセルフケアに有効と述べた。

自覚症状がないまま徐々に進行する「Silent Disease」と呼ばれる歯周病

歯周病の自覚症状の例。こうした症状に気が付いたら歯周病の疑いがある。早めに歯科の受診を

歯と歯の間には、雑菌の住み処となる歯周ポケットが。ここにたまった雑菌が歯周病の原因となる