イラスト : まずりん

鍼灸師・若林理砂さんが、あなたの近くにいそうなキャラたちの健康相談に答えるこの連載。第5回は、最近ちょっと見た目年齢が気になる漫画家さんです。

男性、30代、漫画家
アシスタントは基本依頼せず独り作業が常。作業の様子を動画で公開することも。自炊はしない主義。

本日の患者さんの悩み「老けてきたので、アンチエイジングしたい」

「僕も歳ですかねえ。なんだか最近老けてきた気がするんですよ。アンチエイジングのいい方法、何かないですか?」

ええっと、お仕事は漫画家さんですか。執筆時間帯はどのくらいの時間帯が多いですか?

「たいてい夜中です。作業以外にも、息抜きに描いた落書きをTwitterに投稿したり、作画の様子をライブ配信したりしてますよ」

ああ、夜中に執筆なさっているのですね。もちろん締め切り前なんかは、徹夜しますよね?それは……老けますね。

漫画家は老けにくい?

あら、驚いた顔されてますね。意外ですか?

「ええ。意外です。だって周りもそんな感じの生活してる人ばっかりですよ?」

睡眠時間が短くなったり、不規則になったりすることで、自律神経系のバランスが崩れやすくなって、肌の調子が悪くなるのはよくあることです。恒常的にそんな状態だと、たいてい小じわが増えてくるんですよね。

「でも、同業者で老けてない人もけっこういるし……」

私の患者さんにも漫画家さんって多いんですけど、確かに何年経っても大して 年取った感じがしない人、多いんですよね。あ、私の治療がアンチエイジングに効くから…とかじゃないですよ、念のため 。鍼灸は魔法じゃなくてあくまで治療の手段で、老化は病気じゃないですから。

老けない人は、商業誌で結構な成功を収めている方ですね。自分のやりたいことを実現しやすい状況でしょうから、仕事を楽しんでおられて、ストレスの影響を受けにくいのだと思うんです。それに皆さん 、編集者さんが下にも置かない待遇だもの。対人ストレスの心配も少ないし、そりゃ、老けないと思いますよ。

「そうかあ……ぼくはそこまでじゃないもんなあ」

余談ですが、音楽畑の人もあんまり老けない人が多いんですけど、ちょっと傾向が違います。音楽家の方がいろんな人と足並みを合わせて仕事をしないとならないからか、ストレスはそれなりに感じているように見えてですね。一部の漫画家さんみたいに、時間が止まったような感じではないですね。

老けない体は食事とお風呂から

「うーん、売れる・売れないはいったん置いといて、生活リズムはなんとかするとして……他になんかないんですか?いくらかでも老けないようにする方法って」

そうですね。お食事ってどうなさってます? ……ふむ、ほとんどコンビニで、自炊は滅多にしないんですか。そうすると、たいてい塩分と炭水化物、脂質過多になりますね。ここを注意するだけでもかなり改善します。

先生の漫画を買って読みますから、私の書いた「養生サバイバル」って本、ちょっと読んでみてくださいます? あれに食事の取り方は全部書いてあります。

「はは、先生うまいなあ。じゃあ今度本屋行ってみます。ところで、食事以外のやり方って、なんかありませんか?スキンケアとか」

そうですね、肌のケアというと、バスタブに必ず浸かることと、肌を石鹸などの洗浄剤で極力洗わないことが挙げられます。

先生、たいして外出しないでしょう?執筆はデジタルですか。じゃあどこも汚れないですね。アナログ作画の漫画家さんだと、墨とかトーンのかけらとか体にくっつけて臨床にいらっしゃるんですけどね。そうでないなら、そんなに毎日洗わなくていいです。

「へえ!風呂に入ったら、身体は必ず石けんで洗うもんだと思ってました」

特に顔なんか、お湯で軽く洗ってやる程度で十分。数日に一度だけ洗顔料で洗う程度でいいです。皮脂汚れはお湯だけでかなり落ちるので、毎日石けんで洗うと皮脂の取り過ぎになってしまいます。

顔を洗う労力を減らす代わりに、保湿はしっかりやってくださいね。お風呂上りに間髪入れずに脱衣所で行うのがコツです。凝ったブランドのものじゃなく、薬局なんかで売っている白色ワセリンを薄く塗るので構いませんからね。顔面の皮膚がつやめいてきれいだと、老けて見えないですから。

お大事に、養生してくださいね!