13名の新人男性声優ユニット「ツキクラ」初の単独ホールイベント「TSUKINO CROWD FESTIVAL 2016 SUMMER」が7月18日、東京・科学技術館サイエンスホールにて開催された。

ツキクラの13人

ツキクラは、ソニー・ミュージックエンタテインメントがアニメイトグループの協力のもと開催した次世代の声優アーティストを発掘するリアルオーディション「ツキプロMusic Grand Prix2016」に合格した、声優や俳優、モデルなどのさまざまなバックボーンを持つ若手13名からなるユニット。メンバーは荒一陽、市川太一、糸川耀士郎、井上雄貴、大島尚起、大海将一郎、菊地燎、小松準弥、徳武竜也、西野太盛、筆村栄心、古畑恵介、松岡一平。2.5次元の芸能事務所「ツキノ芸能プロダクション」(ツキプロ)のリアルなアーティスト候補生として、先輩タレントでもあり、現在TVアニメが放送中『ツキウタ。 THE ANIMATION』の登場キャラクターのように、歌って踊れる声優アーティストを目指している。

今回のイベントでは、ファン投票で選ばれた上位8名がキャラクターのユニットとしてCDデビューできる選抜結果の発表が行われることもあり、チケットは発売後3分で完売。ファンの期待の高さをうかがわせた。

ツキクラの13名がステージに登場すると、サイエンスホールは爆発的な歓声で埋め尽くされた。まずは、メンバー一人ひとりがあいさつ。その後、2チームに分かれ3月の「Anime Japan2016」のツキクラ初お披露目イベントから歌ってきた「グロリアス・ストーリー」と「I need you」の2曲を披露した。筆村が「みんなでカウントをひとつひとつ合わせて、そろって見えるように頑張りました」と明かした通り、どちらも格段の成長をうかがわせたパフォーマンスとなった。

荒、糸川、井上、大島、西野、筆村、松岡の「グロリアス・ストーリー」ではコールで会場を盛り上げる

クールなR&Bナンバーの「I need you」では、市川、大海、菊地、小松、徳武、古畑がキレのあるダンスでファンを魅了する

司会の間宮康弘から「自分でどんどんハードルを上げていくね」とツっこまれる菊地。「ハードルを高くしたら下をくぐろうかなって」と切り返す

次に、朗読劇「ある白雪姫の秘密」を披露。こちらも4月のアニメイト横浜店での朗読劇の再演だったが、この日しか見れないアドリブが満載だった。小人(コビト)という男性アイドルユニットが自分達のライブを振り返る場面で、メンバー役の西野と糸川が「サイエンスホールのステージは超盛り上がりましたよね! ね! ね!! じゃあ次の会場は九段下繋がりで、武道館っしょー!! 武道館! 武道館!」と元気な掛け声で手拍子を煽る場面も。そこへナルシストなメンバーを演じる荒が「俺のこの笑顔ひとつで、すぐそこの武道館なんて満員にして見せるよ」とキザで頼もしいセリフを繋いでいた。また、白雪姫役に抜擢された徳武は、上演後に「メンバーの中で一番姫っぽくない俺が姫っていうね。かわいくできてましたか?」と姫の口調で客席に問いかけ笑いを誘っていた。

アドリブでかき乱してやろう」と意気込む西野、糸川

「かわいくできてましたか?」と白雪姫ポーズの徳武

続いて再びライブパートとなり、13人全員で歌って踊る「未来のPiece」のフルバージョンを初披露。不安や戸惑いを抱えながらも未来へ駆けだす力強さを歌った歌詞は、まさにツキクラのメンバー達自身を歌っているようだった。

この曲では、完成度を少しでも上げようとそれぞれが自主練に励み、一部メンバーで深夜練習も行ったほど。大海は一度練習から帰宅したにもかかわらず、タクシーで戻り深夜練に参加したが、なんとタクシー代が7,000円もかかってしまったというエピソードも飛び出した。「水道橋のスパ施設より高い」と嘆く大海に、「僕たちもその金額を聞いたら申し訳なくなっちゃって」と市川。「それはメンバーで割り勘してあげたの?」と司会の間宮が尋ねると、メンバーたちは「全然です」と即答。「みんなもっと大海に優しくしてくれ……」と大海が拗ねると、小松から「でも、今度焼肉おごるんで」とフォローが入った。

ライブパートの後、CDデビュー選抜メンバーの発表へ。ファン達が固唾を飲んで見守る中、1位から順に発表が行われた。

1位は、中間発表でもトップを獲得していた井上。「1位というのは落ちるしかないわけで、この順位をキープできるのか正直不安はありました。でもそこで1位をいただけた。みなさまの応援に恥じないよう自分にできることをひとつひとつやって、自信を持って頑張ろうと思います」と、前向きなコメントを残した。2位は小松。名前が呼ばれた瞬間に体全体で喜びを表し、「ツキクラで挑戦したいことが山ほどあるので、これが最初の第一歩だと思っています」と力強くコメントした。

波乱が起きたのは3位から。名前が呼ばれたのは、中間発表で8位圏外だった松岡。会場は驚きと感動の悲鳴が鳴り響く。選ばれた松岡も戸惑っており、スタンドマイクの前に立つとこみ上げてきた涙を手で拭った。「選ばれたからには一生懸命悔いのないように頑張りますので、これからも応援……」まで言った後で噛んでしまい、会場が笑いに包まれ、「あ、これからも応援よろしくお願いします!」と言い直す、松岡らしいコメントとなった。4位に選ばれたのは大海。「この順位に恥じぬよう、全力で、そしてツキクラの一人として頑張りたいと思います」と真摯なコメントを残した。

5位は、こちらも中間発表で8位圏外だった大島。「中間発表ですごく落ち込んでたところをファンのみんながリプとかで励ましてくれてすっげえうれしかったです。みんなに恩返しします!」と顔を真っ赤にし、涙声でコメント。6位で名前が呼ばれたのも、中間発表で8位圏外だった徳武。「僕もおじいちゃんというキャラクターでみんなをがんばれって前に出す立ち位置でやってたんですけど、自分も負けたくない気持ちがやっぱりめちゃくちゃあって。選んでもらったからには、全力で頑張ります!」と力強く宣言した。

7位を獲得したのは古畑。グループ内で「ふーふーボーイズ」を結成するほど仲の良い、隣の筆村に背中を押されながらセンターマイクに向かっていく。「俺は、今回選んでもらったことにたいして、メンバーに後ろめたさを感じていません。なぜなら、発表をされて一カ月間メンバーとたくさん話してツキクラは13人で一つだという結論に至ったからです。だから、選んでもらったからには全力でみなさんにお届けします!」と、普段のあざといキャラを脱ぎ捨てた、絶叫に近い宣言で締めくくった。最後の8位に選ばれたのは、こちらも中間発表で圏外だった糸川。「僕はツキクラのボーカル隊長として絶対に、誰が見ても恥ずかしくないツキクラを全国に提供したいと思います」と嬉し涙を目に滲ませつつ頼もしいコメントを残した。

中間発表で8位以内だったメンバーのうち4名が最終発表で入れ替わる波乱の結果となった。しかし、印象的だったのは、選抜入りしたメンバーをみんなで讃える13人の姿だ。菊地は中間発表で8位圏外で、最終発表も選抜から漏れてしまう悔しい結果となったが、最後まで選抜入りメンバー達と明るい笑顔でハイタッチを交わしていた。そんなところにたった4ヶ月で深まったツキクラの絆を感じた。

8位までの発表が終わった後、ここでサプライズの重大発表が。それは、13人での「未来のPiece」でのCDデビューと、12月13日に赤坂BLITZでイベント「TSUKINO CROWD FESTIVAL 2016 WINTER」を開催すること。会場はうれしい悲鳴に包まれた後、あちこちですすり泣く声が聞こえてくる。メンバーも嬉しさと動揺を隠しきれない様子で、こらえきれず涙する者もいた。

盛りだくさんの内容だったイベントもいよいよ最後のあいさつへ。中間発表で8位圏内だったものの選抜から漏れてしまったメンバーの市川は「僕自身の今の位置が分かったということでとても有意義なウェブ投票だったと思います。精進していきます」と結果を冷静に受け止めていた。筆村は悔し涙で途中声を詰まらせたものの「まだ僕は夢の途中だからって強く思いました。これからもみなさんの期待に応えられるよう頑張りたいと思います」と決意を新たにしていた。

選抜外となった荒。挽回できるようにより一層頑張っていきたいと語る

同じく選抜外となった西野も、前を向いて歩いていくのでよろしくお願いしますとコメント

最後は全員で「ありがとうございました!」とあいさつし、この日のイベントは終幕。ツキクラの成長と絆の深まり、そして今後の大きな可能性が感じられたイベントとなった。